月曜日, 12月 29, 2014

株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす



最近は意図的に本を読む量を減らしているんだけどこの本はおもしろかった
個人的に翻訳物全般が好きじゃなくて読んでると放り出したくなってくるというか放り出すことが多いんだけどこれは退屈せずに読めたばかりか久しぶりに
この人すげー勉強してて頭いいなー
と感心した本

株式投資の本のようにも見えるんだけど、少なくない部分が
人口問題
文明
歴史、世界史
に充てられている。

内容としてはよく言われている内容だけど50年100年のS&Pのデータを分析したという点が特徴
著者の前著株式投資 第4版は読んでないけどこの本から察するに
・株式投資は長期のリターンでみれば債券やその他に勝る
・素人が個別銘柄やファンドを吟味しても所詮インデックスに負けるんだからだまってETFを買うべし
という内容ではないかと思われる。
で、この本でそうはいってももっと踏み込んで教えてください、という声にだったらデータではこうなってますよ、という回答と思われる

目次は

第1部 「成長の罠」を暴く(成長の罠
創造的な破壊か、創造の破壊か? ほか)
第2部 過大評価される成長株(バブルの罠―市場の多幸症をどう止め、どう避けるか
新興の中の新興に投資する―新規公開株(IPO) ほか)
第3部 株主価値の源泉(金をみせろ―配当とリターンと企業統治
配当再投資―下落相場のプロテクター、上昇相場のアクセル ほか)
第4部 高齢化をめぐる危機と世界経済の力学シフト(過去は未来のプロローグか?―株式の過去と未来
変えられない未来―目前に迫る高齢化の波 ほか)
第5部 ポートフォリオ戦略(世界市場と国際ポートフォリオ
未来に向けた戦略 D‐I‐V指針)
付録 S&P500当初構成企業の変遷とリターン


ざっくりとした内容は

第1部 「成長の罠」を暴く(成長の罠
創造的な破壊か、創造の破壊か? ほか)
第2部 過大評価される成長株(バブルの罠―市場の多幸症をどう止め、どう避けるか
新興の中の新興に投資する―新規公開株(IPO) ほか)
=>
ハイテクなどの成長分野は消費者を幸せにするけど必ずしも投資家を幸せにしない
マイクロソフトやインテルのような成功事例に当たれば別だけどハイテクセクターとしてはリターンはS&P平均にも劣る
この理由は
投資家のリターンは他の投資家の期待値よりも上か下かで決まるから
ハイテク株は一般的にPERが高いのでそのコストを長期的にも吸収できない
S&P開始時から存在した銘柄で一番リターンが高かったのはフィリップ・モリス
株式投資は美人投票であり、
成長株でも市場の期待より低い成長であれば低いリターン
低成長でも市場の期待より高い成長であれば高いリターン
となる


第3部 株主価値の源泉(金をみせろ―配当とリターンと企業統治
配当再投資―下落相場のプロテクター、上昇相場のアクセル ほか)
=>
なぜフィリップ・モリスが初期S&P銘柄の中で一番だったかの理由は常に安定した配当をしてきたから
一度も減配したことがないこの銘柄を配当のたびに再投資していたから
長期では株の暴落/低迷期間はこの再投資の効率を上げる
暴落/低迷期間がなかったら多く仕入れられず結果としてリターンが下がっていた
底から上がってきた時には枚数が増えているので以後の受け取る配当も加速する

私も含め少し株について知っていると
配当は税金取られるから自社株買いがいいじゃん、配当だって、ワロス
と思ってしまうところだけど、シーゲル氏によれば
自社株買いは経営者の気分で実行されるし、発表しといて実行されないことも多い
税金を取られたとしても会社と投資家の信頼関係としてはよいこと
キャッシュリッチで配当をしないと経営者は使いたがり失敗することが多い


第4部 高齢化をめぐる危機と世界経済の力学シフト(過去は未来のプロローグか?―株式の過去と未来
変えられない未来―目前に迫る高齢化の波 ほか)
=>
ベビーブーマー世代がリタイアすると資産を取り崩す
また労働人口が減るぶんだけ誰が供給するのか
この2点から高齢社会ではその資産の買い手がいないため株価下落を心配する声が多い
一般的な回答でシーゲル氏が回答でないと思っていのが
・生産性の伸びを加速する---生産性を伸ばすために資本が必要なので貯蓄率を上げる必要がある
貯蓄率の高い日本では生産性が高くない
・社会保障税率引き上げ
景気悪化を生むので答えになってない
・移民
移民も将来的には高齢化の原因となり、解決のためには期待するより多い4~5億人の移民を受け入れる必要がある

ただ、シーゲル氏は楽観している
理由は
資産は途上国の投資家が買ってくれるし供給は途上国の労働者が供給してくれる
という点
生産性は情報を互いに行き来できれば必ず上がる
紙も印刷機も時計も中国人が最初に発明していながら長く低迷したのは明など一つの大国が情報のコントロールをしていたから
対してヨーロッパは各国が競争していたので情報が行き来していた
同じくヨーロッパでも中世の情報分断時代は発展がなく、古代ローマのインフラのほうがむしろ高度だったぐらい


第5部 ポートフォリオ戦略(世界市場と国際ポートフォリオ
未来に向けた戦略 D‐I‐V指針)
=>
D-I-Vとは
Dividend
持続可能なペースでキャッシュ・フローを生成し、それを配当として株主に還元する銘柄
International
中心は、アメリカ/欧州/日本から中国/インドをはじめ途上国へシフトしていく
インターナショナルに活躍する企業/ブランドを選ぶ
バークシャー・ハザウェイが好む銘柄選択として
見知らぬ土地でコカコーラが1ドル、聞いたことない飲み物が80セントだったら多くがコカ・コーラを選ぶ
その20セントを消費者に許容させるブランドを選ぶ
Valuation
成長見通しに対してバリュエーションが適正な株を買い続ける
IPOや人気銘柄は避ける
個別銘柄であれ業界であれ、市場の大勢が「絶対に買い」とみているうちは、買わない

結果、シーゲル氏のお勧めは
株式投資100%
内訳
ワールド・インデックスファンド50%
米国株 30%
非米国株 20%
リターン補完戦略 50%(各10~15%)
高配当銘柄 過去15年間減配していない上位など
配当利回り上位20%
ダウ10種、S&P10種、ダウコア10種、S&Pコア10種
REIT
グローバル戦略
S&Pグローバル100
ダウ・ジョーンズ・グローバル・タイタンズ
多国籍企業への分散投資
セクター戦略
石油および天然資源
医薬品
有名ブランドの生活必需品
バリュー戦略
低PER
生き残り上位
バークシャー・ハザウェイ

ただ一点、どこかのblogか人かも言ってたけど、中国投資に対するところはまちがいだと思われる
ドル換算にしても中国投資は少なくともマイナスではなかったはず