月曜日, 4月 29, 2013

「黄金の羽根」を手に入れる自由と奴隷の人生設計



私は今でも親から
「まわりも含めてみんながあんたのことを子供の頃はかわいいかわいいと言ってたのにいつからこんなかわいくないこになっちゃったんだろうねぇ」
と親からたまに言われますが、それは私が橘玲さんのファンだからが十中八九でしょう(苦笑
20代前半から好きな作家の一人に橘玲さんを挙げればそいつは小生意気なかわいげのないやつに決まっています

本書は文庫サイズで邪魔にもならないし、読んでない人は是非一家に一冊あったほうがいいと思う
唯一の欠点はもうすでに古いこと、大幅加筆修正とかしてくれないかなぁ、橘玲さんのことだから
「この利権国家では不幸にも本書を書いた時点からほとんど進展がなく、小規模加筆で充分でした」
とか言いそうだけど


さて、本書は
出版社の目次にある通り
第1部 不動産は人生にとってほんとうに必要か?
第2部 6歳の子どもでもわかる生命保険
第3部 ニッポン国の問題
第4部 自立した自由な人生に向けて
という構成

特に参考になるのは1と3

第1部 不動産は人生にとってほんとうに必要か?
・支払った代償の大きさが自分の判断を正当化する、不動産購入は宗教の入信と一緒で自己肯定するのは心理的に当然
・AさんとBさんがそれぞれ5,000万円あったとして、不動産を買うか有価証券を買うかはBS上一緒、むしろ不動産は取得と保持にコストがかかる
・不動産を買って住むのは自分で自分に家賃を払っていること
・所持金が1,000万だとして、片方が借入4,000万をして不動産を購入するのはまぎれもない信用取引
・「家賃を払うより金利を払って家を買ったほうが得ですよ」というセールストークは「自己資金だけで資産運用するより、借金して投資金額をふくらませたほうが有利ですよ」という意味
・信用取引なので当然不動産が上がれば買わなかった人より儲かる、下がればレバレッジ分損失を被る。バブル時取得者で実質債務超過の人は多い
・不動産の値段は本来収益還元法で決まる
不動産の還元価値 = 収益 ÷ 利回り
利回り5%なら
家賃10万不動産価値は 120万 ÷ 0.05 = 2,400万
不動産価値3,000万なら 3,000 × 0.05 =150万 なので月12.5万が相場となる
・欠陥住宅にも気をつけるべし
・競売物件はトラブルも多く、トラブルがない物件に集中すると結局相場並になる
・日本の借地借家権は借地借家人の権利を過剰に保護しているため長居されないように定期的に追い出す仕組みになっている
(家族向けでなかったり、2年に一回引越しを考えさせる更新料だったり)
・敷金はまだしも礼金や更新料に法的根拠はない、敷金だって無利息で持っていていいはずがないので運用情報を開示すべき
・不動産はビデオレンタルと同じレンタルビジネス、その点でも大家に感謝しろという礼金とは何だ?
・日本の賃貸住宅は借家権の家主側のリスクプレミアム分割高になっている、入居者に確実に出ていってもらえるよう、意図的に不快に設計されている
・このような借地借家権の乱用による不動産賃貸市場の歪み是正のために「定期借地権付住宅(定借住宅)」が導入された
・標準50年で更地にして土地を地権者に返す
例えば、賃料収入250万/年、還元利回り5%の不動産価格は5,000万
定借であれば
借地期間 収益還元価格 割引率
所有権 5,000万 0%
50年 4,560万 8.8%
40年 4,290万 14.2%
30年 3,840万 23.2%
20年 3,120万 37.6%
10年 1,930万 61.4%
1年 240万 95.2%
となる。ただしまだ日本では所有権が重視されているため50年の借地権は実際には40%程度割り引かれる。
不動産神話によってもたらされた心理的な所有権プレミアム
・同様に、定期借家権も20~30%同種の賃貸物件よりも安くなっている。(借家権のリスク・プレミアム)
・夏目漱石の作品をみるとわかるが明治はみな賃貸だった、所有が重視されるのは今の時代だけでは?

第2部 6歳の子どもでもわかる生命保険
は、生命保険は自分が不幸になるほうにかける宝くじだよねー、という内容

第3部 ニッポン国の問題
も、年金と医療保険にあまり自信がないひとは必読
・国民年金を確信犯的に払わない人がいるが
-サラリーマンの厚生年金報酬比例部分からずさんに流用され補填されている
-財源が消費税の一部であれば払った分だけ損になる
という点で払ったほうがいい
・橘さんが絶対にうまくいかない厚生年金基金、と言い切ったようにその後ゆっくりと終了させることになった
・40年間保険料を納めた基礎年金の給付額は夫婦2人で13万円、一方で生活保護は夫婦2人で14万円><
・未納問題なんて基礎年金の税方式かで一緒解決する、厚生年金の報酬比例部分を別にする、そうすると公営である意味がなくなるので民営化する
・これをしてしまうと社保庁が要らなくなるので必死に抵抗している
・財務省も年金が福祉目的税になると消費税が自由に使えなくなるから反対している、恐ろしい亡国行政
ただし私はこの方針には大いに疑問、資本主義は参加者が無駄遣いをすることが潤滑油なのに消費を懲罰してどうするんだろうと前から思っている
消費しないで溜め込んでいる人に資産課税したほうが成熟社会には合っていると思う、消費税0
・国営保険会社のもうひとつの主力商品健康保険も日本人であれば強制加入
・1974年は5.4兆円、毎年1兆円増えてその医療費の1/3が高齢者医療に支払われている、高齢者が毎年70万人増えているため
・ビジネスチャンスのある毎年1兆円拡大する市場だが国営生保の管理下にあり市場が歪んでいる
・国民皆保険を実現したことによりブラックジャックのようなお金を出しても良い治療を受けたいというニーズには答えられなくなった
・著者2010中流階級消失
">は田中勝博氏のイギリス人の奥さんの事例を紹介、日本では余命半年と宣告されたもののイギリスのプライベートホスピタルを選びQOLも上がりすっかりよくなった
・田中氏は毎月5万円程度の保険料を払って、「世界中のどこにいてもどんな病気に対してもまたどんな治療を受けても家族全員に全額医療費が支払われる保険」に入っていたのですべて保険で賄えた

続編の目次、もちろんオススメ


念の為、冒頭の「いつからかわいくなくなった」は親の冗談です
親とか本読めといっても読まないし、不動産のこととか話しても向こうが不愉快になるだけなのでもはやそういう話はしませんが
・おとんおかん世代は不動産を買って正解の確率が高かったから別にそれを否定してるわけじゃないよ
・今は不動産の目利きができるか運がいい人じゃないと正解かどうかはわからない、リスクが高いよ
・首都圏は下がらないだろうけど、住宅取得ニーズのある層の人口という需要は減って、新しく供給はちょいちょい増えてるんだから上がるのは想像できないなぁ
・僕は慎重派なのでそんな信用取引はせずに現物で投資をするよ、でも若いうちにだいぶ失敗したよw
・お金がどうこう言うつもりはないけど、家買ったきょうだいには祝い金をあげて賃貸の人にはあげない、というのはおかしいよ、僕が信用で株取引しても祝い金はくれないでしょ
・税金や保険年金の制度に詳しくないから搾取されるんだよ、僕が詳しいから適当に一番いいように手伝ってあげるよ
とかいうだけで親としては理解ができずに
かわいくないガキだ、ムキー
となるわけです(笑

金曜日, 4月 26, 2013

世界にひとつしかない「黄金の人生設計」



私は今でも親から
「まわりも含めてみんながあんたのことを子供の頃はかわいいかわいいと言ってたのにいつからこんなかわいくないこになっちゃったんだろうねぇ」
と親からたまに言われますが、それは私が橘玲さんのファンだからが十中八九でしょう(苦笑
20代前半から好きな作家の一人に橘玲さんを挙げればそいつは小生意気なかわいげのないやつに決まっています

本書は文庫サイズで邪魔にもならないし、読んでない人は是非一家に一冊あったほうがいいと思う
唯一の欠点はもうすでに古いこと、大幅加筆修正とかしてくれないかなぁ、橘玲さんのことだから
「この利権国家では不幸にも本書を書いた時点からほとんど進展がなく、小規模加筆で充分でした」
とか言いそうだけど


さて、本書は
出版社の目次にある通り
第1部 不動産は人生にとってほんとうに必要か?
第2部 6歳の子どもでもわかる生命保険
第3部 ニッポン国の問題
第4部 自立した自由な人生に向けて
という構成

特に参考になるのは1と3

第1部 不動産は人生にとってほんとうに必要か?
・支払った代償の大きさが自分の判断を正当化する、不動産購入は宗教の入信と一緒で自己肯定するのは心理的に当然
・AさんとBさんがそれぞれ5,000万円あったとして、不動産を買うか有価証券を買うかはBS上一緒、むしろ不動産は取得と保持にコストがかかる
・不動産を買って住むのは自分で自分に家賃を払っていること
・所持金が1,000万だとして、片方が借入4,000万をして不動産を購入するのはまぎれもない信用取引
・「家賃を払うより金利を払って家を買ったほうが得ですよ」というセールストークは「自己資金だけで資産運用するより、借金して投資金額をふくらませたほうが有利ですよ」という意味
・信用取引なので当然不動産が上がれば買わなかった人より儲かる、下がればレバレッジ分損失を被る。バブル時取得者で実質債務超過の人は多い
・不動産の値段は本来収益還元法で決まる
不動産の還元価値 = 収益 ÷ 利回り
利回り5%なら
家賃10万不動産価値は 120万 ÷ 0.05 = 2,400万
不動産価値3,000万なら 3,000 × 0.05 =150万 なので月12.5万が相場となる
・欠陥住宅にも気をつけるべし
・競売物件はトラブルも多く、トラブルがない物件に集中すると結局相場並になる
・日本の借地借家権は借地借家人の権利を過剰に保護しているため長居されないように定期的に追い出す仕組みになっている
(家族向けでなかったり、2年に一回引越しを考えさせる更新料だったり)
・敷金はまだしも礼金や更新料に法的根拠はない、敷金だって無利息で持っていていいはずがないので運用情報を開示すべき
・不動産はビデオレンタルと同じレンタルビジネス、その点でも大家に感謝しろという礼金とは何だ?
・日本の賃貸住宅は借家権の家主側のリスクプレミアム分割高になっている、入居者に確実に出ていってもらえるよう、意図的に不快に設計されている
・このような借地借家権の乱用による不動産賃貸市場の歪み是正のために「定期借地権付住宅(定借住宅)」が導入された
・標準50年で更地にして土地を地権者に返す
例えば、賃料収入250万/年、還元利回り5%の不動産価格は5,000万
定借であれば
借地期間 収益還元価格 割引率
所有権 5,000万 0%
50年 4,560万 8.8%
40年 4,290万 14.2%
30年 3,840万 23.2%
20年 3,120万 37.6%
10年 1,930万 61.4%
1年 240万 95.2%
となる。ただしまだ日本では所有権が重視されているため50年の借地権は実際には40%程度割り引かれる。
不動産神話によってもたらされた心理的な所有権プレミアム
・同様に、定期借家権も20~30%同種の賃貸物件よりも安くなっている。(借家権のリスク・プレミアム)
・夏目漱石の作品をみるとわかるが明治はみな賃貸だった、所有が重視されるのは今の時代だけでは?

第2部 6歳の子どもでもわかる生命保険
は、生命保険は自分が不幸になるほうにかける宝くじだよねー、という内容

第3部 ニッポン国の問題
も、年金と医療保険にあまり自信がないひとは必読
・国民年金を確信犯的に払わない人がいるが
-サラリーマンの厚生年金報酬比例部分からずさんに流用され補填されている
-財源が消費税の一部であれば払った分だけ損になる
という点で払ったほうがいい
・橘さんが絶対にうまくいかない厚生年金基金、と言い切ったようにその後ゆっくりと終了させることになった
・40年間保険料を納めた基礎年金の給付額は夫婦2人で13万円、一方で生活保護は夫婦2人で14万円><
・未納問題なんて基礎年金の税方式かで一緒解決する、厚生年金の報酬比例部分を別にする、そうすると公営である意味がなくなるので民営化する
・これをしてしまうと社保庁が要らなくなるので必死に抵抗している
・財務省も年金が福祉目的税になると消費税が自由に使えなくなるから反対している、恐ろしい亡国行政
ただし私はこの方針には大いに疑問、資本主義は参加者が無駄遣いをすることが潤滑油なのに消費を懲罰してどうするんだろうと前から思っている
消費しないで溜め込んでいる人に資産課税したほうが成熟社会には合っていると思う、消費税0
・国営保険会社のもうひとつの主力商品健康保険も日本人であれば強制加入
・1974年は5.4兆円、毎年1兆円増えてその医療費の1/3が高齢者医療に支払われている、高齢者が毎年70万人増えているため
・ビジネスチャンスのある毎年1兆円拡大する市場だが国営生保の管理下にあり市場が歪んでいる
・国民皆保険を実現したことによりブラックジャックのようなお金を出しても良い治療を受けたいというニーズには答えられなくなった
・著者2010中流階級消失
">は田中勝博氏のイギリス人の奥さんの事例を紹介、日本では余命半年と宣告されたもののイギリスのプライベートホスピタルを選びQOLも上がりすっかりよくなった
・田中氏は毎月5万円程度の保険料を払って、「世界中のどこにいてもどんな病気に対してもまたどんな治療を受けても家族全員に全額医療費が支払われる保険」に入っていたのですべて保険で賄えた

続編の目次、もちろんオススメ


念の為、冒頭の「いつからかわいくなくなった」は親の冗談です
親とか本読めといっても読まないし、不動産のこととか話しても向こうが不愉快になるだけなのでもはやそういう話はしませんが
・おとんおかん世代は不動産を買って正解の確率が高かったから別にそれを否定してるわけじゃないよ
・今は不動産の目利きができるか運がいい人じゃないと正解かどうかはわからない、リスクが高いよ
・首都圏は下がらないだろうけど、住宅取得ニーズのある層の人口という需要は減って、新しく供給はちょいちょい増えてるんだから上がるのは想像できないなぁ
・僕は慎重派なのでそんな信用取引はせずに現物で投資をするよ、でも若いうちにだいぶ失敗したよw
・お金がどうこう言うつもりはないけど、家買ったきょうだいには祝い金をあげて賃貸の人にはあげない、というのはおかしいよ、僕が信用で株取引しても祝い金はくれないでしょ
・税金や保険年金の制度に詳しくないから搾取されるんだよ、僕が詳しいから適当に一番いいように手伝ってあげるよ
とかいうだけで親としては理解ができずに
かわいくないガキだ、ムキー
となるわけです(笑

月曜日, 4月 22, 2013

全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦



http://www.amazon.co.jp/%E5%85%A8%E7%B1%B3No-1%E6%8A%95%E8%B3%87%E6%8C%87%E5%8D%97%E5%BD%B9%E3%82%B8%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E6%8A%95%E8%B3%87%E5%A4%A7%E4%BD%9C%E6%88%A6-%E3%82%B8%E3%83%A0-%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC/dp/4532352150/ref=sr_1_4?ie=UTF8&qid=1359890727&sr=8-4

相場サイクルとトレーディング戦略
http://homepage1.nifty.com/urai/kabu/04_05_jim.html
http://kabusikitousi-nikki.seesaa.net/article/81024852.html

著者は10の分散投資をこの順でゆっくりとすすめては?とアドバイス
・身の回りにある企業
情報が伝わってくるので
・石油株
・名の通った優良大企業
配当利回り2.5%以上 例えば大手化学メーカや多角経営起業 持続的に配当を増やしてきた銘柄
・金融関連銘柄
地域の地方銀行とか
・投機銘柄
次の5つのカテゴリーは景気相場サイクルをみて
・消費財関連銘柄
例えばP&G ケロッグ コルゲート バドワイザー ジレット
・大型優良循環銘柄
景気が下降局面に入り、重厚長大産業が大きく売り込まれたら仕込む
例えばダウ・ケミカル デュポン キャタピラー ボーイング 3M
・ハイテク銘柄
・進行の流通チェーン銘柄
・第二のスターバックス

水曜日, 4月 17, 2013

ローマ人の物語〈43〉ローマ世界の終焉〈下〉



塩野さんからの、一緒にローマを看取りましょう、というメッセージとともに最終巻に突入
43巻は、すでに西ローマが滅亡した後の西ヨーロッパその後と東ローマ帝国のその後
ゲルマンがローマを征服したといいつつ、中国における清のような存在だったと思われる
少数で多数を長期間支配下に置き続けるのは難しく、西ローマ帝国の皇帝位を廃したオドアケルののち、テオドリック、テオダトゥスと、結果今までの組織を温存したまま支配者と非支配者は共存していく。
塩野さんのいうパクスバルバリカ、ローマによる平和の次は蛮族による平和
その平和を破ったのは、、同じローマ人
東ローマ帝国がビザンチン帝国というべき時代になりユスティニアヌスは北アフリカとイタリアと支配していくがそれまで
ビザンチン帝国もその後すぐに滅びていく

空前絶後の大帝国はこうして息を引き取った

読了
43巻無事に読み終わりました
駆け足だけどいろんなことを学べる良著ではないですかね

月曜日, 4月 15, 2013

ローマ人の物語〈42〉ローマ世界の終焉〈中〉



ローマが一度目に蛮族に襲われ尽くした時は世界中の大ニュースとなった
ホノリウスは、もうローマには他の国を属国をかまう余裕はありません、スペインもブリタニアもガリアも自分たちでやってください
と、事実上帝国の終焉を宣言する

その後西ローマは皇帝が入れ替わり立ち代り
最後の皇帝の名が、ロムルス・アウグストゥスというのは皮肉でおもしろい(笑
二度目に襲われた時はニュースにすらならず
襲った蛮族はローマ皇帝を倒した後次期皇帝は立てず、そして静かに西ローマは消えた

ローマ亡き後西ヨーロッパは蛮族と言われたゲルマン民族が力を握っていく
ゲルマン民族のひとつフランク族が住む場所、という意味のフランス
ゲルマン民族が民族大移動でアングロ族とサクソン族が移り住んだところがアングロ族が住む所、という意味のイングランドなどなど

金曜日, 4月 12, 2013

ローマ人の物語〈41〉ローマ世界の終焉〈上〉




この時代は、税関係や日曜おやすみなどのキリスト教布教政策がうまくいって社会がだいぶキリスト教化していた
そんな社会では皇帝は神に指名された存在であり、無能だから人々を守るために皇帝を殺す!という昔のようにはならない。
皇帝の指名を亡き者にすることはキリストを否定することなので
自分の王朝を盤石にしたかったコンスタンティヌスの狙いはぴたりとはまったものの、これが期待した未来だったのか
この意味でもカエサルの
悪しき結果に終わったことの多くは、そもそもは、よき動機から発していたのである
は名言

東西ローマを一人で統治した最後の人テオドシウスが息子アルカディウスとホノリウスに仲良く統治するんだよ、とスティリコという有能な武将を一人残していった
武将を一人しか指名しなかったことから東西に国を分離する意図などなかったことは明らか
当時は父の血が重要と思われいたので、母がローマ人であっても父が蛮族だったスティリコは半蛮族といわれる
開かれたローマはもともと人種のるつぼだったので出身地で差別されるようなことはなく、この意味でも人間や社会は衰退期には拠り所がなくなり自信がなくなっていくので差別が起こる
そんなことにはとらわれずに、「最後のローマ人」と言われたスティリコはローマのためにがんばるが、蛮族をわざと取り逃がしたとか蛮族と裏でつながり取引している、とあることないこと囁かれる。
スティリコが軍隊を持っていたので簡単にクーデターは起こせただろうけどスティリコはそれをしない
丸腰で皇帝の呼び出しに応じる、待っていたのは皇帝でなく宦官たちであえなく数少ない望みも消される。。

水曜日, 4月 10, 2013

ローマ人の物語〈40〉キリストの勝利〈下〉



ローマ衰退からの滅亡を食い止めようと健闘しそして倒れたユリアヌス
この巻では主導権はもはや皇帝ではなく、皇帝を任命する側のミラノ司教聖アンブロシウスにうつっていく
やり手のアンブロシウスがローマ宗教を始めとするキリスト教以外の異教と、キリスト教ではあるものの三位一体(キリストは神である)というカトリック以外の異端を迫害していく
宗教は違うものを信じていれば割りといさかいにならないんだけど、似てるけど違うものを信じるとなるとたちが悪い
オレの信じるカトリックはそんなんじゃない、曲げて解釈するな!
となるので、信じてない人から見ると怖い世界

これはローマ帝国ではない..とローマ史をコンスタンティヌスでやめる歴史家も多いとのこと
ぁぁ栄枯盛衰

月曜日, 4月 08, 2013

ローマ人の物語〈39〉キリストの勝利〈中〉



コンスタンティウスが無事没して、他に血縁がいなかったのでユリアヌスに継がれる
これは久方ぶりに有能な皇帝!
戦をやっても政治をやっても期待ができる
ただし、、オリエントに遠征した時に合流するはずの別働隊が来ずに、敵地で没する
別働隊が来なかったのも抵抗勢力の陰謀と思われ、槍に貫かれたのも敵兵のではなくローマ兵の槍だったと言われている
まともな皇帝ユリアヌスの治世は19ヶ月に終わる...
ローマ社会を押し戻そうとキリスト教を他の宗教の扱い並みに戻そうとしたユリアヌスの治世が19年だったら、キリストはローカルな宗教で敗れ去っていったかもしれない
ユリアヌスこそが「ローマの最後の努力」であり消滅前の最後の花火だった
ただ、最後に勝ち残ったのはキリストだった

金曜日, 4月 05, 2013

ローマ人の物語〈38〉キリストの勝利〈上〉



コンスタンティヌスは息子3人と甥2人の5人でみんな仲良く帝国を統治してね、と残して世を去っていった
ただ残ったのは、、
大帝が死んですぐに、甥二人と次男と皇帝周辺の人が集まった席で、次男コンスタンティウス以外が何者かに殺されるという事件発生
領土を分けあった次男と末弟だけずるいぞー、と兄がいさかいを起こしてきたりと、レベルが低い...
次男も特に優れた人ではなかったんだろうけど敵失でいつのまにか帝国を一人で統治することになる

みんなころしてやんよ
と、殺して自分一人で治めるようになったのはいいんだけど一人じゃおさめきれなくなってあたふたどうしよう、という感じ
あ、そういえば昔殺したいとこの息子二人を幽閉してたっけ!
と思い出した感じで引っ張りだされた兄は若干精神破綻気味&宦官とうまくいかずに告げ口され結局殺される
ただ幽閉されて哲学しかやってこなかった弟ユリアヌスはたいしたもんで久しぶりに期待させる優秀な人物!
ユリアヌス!皇帝になってローマを立て直すんだ!

水曜日, 4月 03, 2013

ローマ人の物語〈37〉最後の努力〈下〉



コンスタンティヌスの行ったことの一つは、ディオクレティアヌスのつながりだけれども、コンスタンティノープル、現イスタンブールを首都にした、ということがある
これはアジアの専制君主並の贅沢を皇帝とその近辺が望むようになってしまったということで腐敗の一因にもなっていく
宦官なんて不自然な人たちもこの頃になると皇帝の周りには多くなっていった模様

また、支配の道具としてキリスト教を公認したけれども、信徒が少ないと権威として落ちるので、税金の上で優遇されたり、軍隊でもキリスト信者なら日曜は休めたりなどプチ得な仕掛けのため次々とキリスト教は広まっていく
そしてキリストの勝利!

月曜日, 4月 01, 2013

ローマ人の物語〈36〉最後の努力〈中〉



ディオクレティアヌスは帝国を四頭テトラルキアが四分割して、当時は死ぬしか引退できなかった皇帝の地位から引退する
この意味でも、また大きな政府を目指し旧体制を温存しようとした点でも、ディオクレティアヌスはスッラに似た感じと思われる

自分が生きてる時に後継者がうまくやっているかを見届けたい、という希望はわかるものの、この時代に軍隊を手放すことの意味を過小評価してしまったのかもしれない
西方正帝のコンスタンティウスの息子コンスタンティヌスが、父が亡くなった隙に西方副帝の地位を手に入れ、軍事にも優れていたので長いことかけてゆっくりと帝国全土を手に入れる

コンスタンティヌスは大帝と呼ばれるけれんども、それはキリスト教から見ていい人だったかどうか
ただ、コンスタンティヌスはディオクレティアヌスと違ってキリスト教を追い詰めないょ、公認するょ、と言ってるだけで特になにかすごいことをしたわけではない
しかもコンスタンティヌスとしては支配の道具として、
人間である皇帝だと統治のロジックとして弱い
後継者指名にしても、神からの指名であればそれに逆らうことは許されない
神から統治を委任された神に近い存在の皇帝が人間を統治する
ということで、多神教の神よりも一神教のキリスト教を選んだ、という経緯がある

このあたりは日本の天皇という存在に近い
日本も日本史の長い間、天皇はまさに象徴でお上を神輿にかついだほうが正当な統治権を与えられる、という意味で