さすが司馬さんの作品
前半はさほどだけどオーケストラのように中後半からどんどんとおもしろくなっていく
今回も事前の私見では
時代を読めず流れに乗れなかった集団
というネガティブなイメージしかなかったのに、土方歳三や沖田総司に対してあざやかに散っていった華のような断然プラスのイメージができた
薩長が天使をかついだので逆賊の汚名を恐れた徳川慶喜は逃げ出す
はしごを外された形になった新選組は大阪で取り残されるも江戸に逃げ帰って体制を立て直す
そこでも徳川に忠を尽くそうとする近藤新選組は
新選組が江戸にいてはまとまる話もまとまらない
と、講和の邪魔者扱いされほうぼうに退けられる
のちに徳川慶喜
彼は新政府に気を使って政治的な言動は一切なかった
近藤と土方について聞かれた時に、代々録を食んできた武士階級が次々と逃げ出すなか、百姓上がりの若者たちが常に最前線で命をはっていたこと、それらの行動を幕府の事情のため裏切り続けたことに対して涙を流し続けたことに対して感情が溢れた
北関東に転戦していった近藤は、土方歳三が止めるのも聞かず
素直に降伏すりゃそんな悪いようにはしねーっぺ
と新政府軍に降伏しその後首をはねられる
土方歳三はただのテロリストではなく、源義経や楠木正成に通じるような少をもって大を倒す、すすぐれた"喧嘩屋"
五稜郭まで転戦した中で、旧幕側の総裁、副総裁、陸海軍奉行など八人の閣僚のなかで戦死したのは歳三ただひとり。
八人の閣僚のうち、榎本武揚、荒井郁之助、大鳥圭介、永井尚志の四人はのち赦免されて新政府に仕えている。
土方歳三にとっては時勢とかどうでもよく、降伏するには彼がつくり散っていった新選組たちに合わせる顔がなく、そもそも捕まっても斬首が待っているため彼にとっての美学を貫く。
このあたりは漢です。かくあらねば。
★★★★★