金曜日, 12月 31, 2010

ローマ人の物語〈35〉最後の努力〈上〉



この巻の主役はディオクレティアヌス
amazonのレビューで

組織論とかリーダー論的な洞察力は衰えていないが
人物の性格に関する描写力は明らかに衰えている

「品格を重んじたティベリウスにはユリアの品格の低さが我慢できなかったのだろう」とか
「アウグストゥス自身が誰にでも心を開く人ではなかった」とか

そのくらい颯爽と想像力を働かせて鮮やかに人物を書き綴って欲しい


とあったが、塩野さんはおそらくハンニバル/カエサル/アウグストゥスを書きたかった気持ちが強くそれ以外は枝葉だったのかと想像

本文のどこかにも書いてあったが
「もはやローマとは言えないので筆を置いてもいいのだが、愛する人の末路まで付き添うのもまた人情」
と書かれていた。そのような視点で見るべきかと思われる。

さて、ディオクレティアヌス
組織として制度疲弊していたローマを立ち直すために力を尽くす
この当時のローマ皇帝は本当に名誉職
終身制だったので不満を持たれたら「任期を終わらせるにはつまりこの方法しかない」と亡き者にされることも多かった

ローマが広大になったこともあり、蛮族と呼ばれる「ローマ化されていない部族」から攻め込まれることが多くなる
その解決策としてディオクレティアヌスが取った手は
「分けて統治する」
まずは帝国を西方と東方に二分割、そして数年後には
・西方正帝
・西方副帝
・東方正帝
・東方副帝
と帝国を4分割する
このあたりは責任を明確にして統治するカンパニー製などに近い意図か

確かに責任を明確化したことにより、蛮族から帝国がおびやかされることはなくなったものの、ごく少数の例外を除いて、お互いに軍の貸し借りはなかったことから軍に関わる人数が膨大になっていく
また、共通で持てていた機能が4分割されたことから官僚機構も肥大化していく
結果として、帝国全土の税金が肥大化していった

以前は税の種類にもよったが、シンプルに10%などであった税が複雑化/高率化していく
結果として民達のフラストレーションも高まっていく

★★★

水曜日, 12月 29, 2010

その英語、ネイティブにはこう聞こえます



どこかで勧められていたので手に取ったものの
「この言い回しが間違いです」
というのが大きく載っていてまるで間違えてそれを覚えてしまいそう

類書が多く載っている数も多い
たまにはこういうトピックもいいんだろうけど、語学なんてある程度恥かいてみにつくもんだろうし

月曜日, 12月 27, 2010

ネイティブスピーカーの英文法絶対基礎力



これも途中からつまらなくなり放り出す
著者は確かにわかりやすい視点も多いが、それ以上に日本人は?人間は?断言好きでここまで人気になっているのだと思われる

金曜日, 12月 24, 2010

ネイティブスピーカーの単語力〈3〉形容詞の感覚



前著の動詞シリーズに続いて次は形容詞

せっかく借りたので一応読んだが、筆者の語り口
「なんで誰もこんなわかりやすい伝え方で教えないんだろう(キリッ」
に疲れて来たのでだいぶ読み飛ばし読了

水曜日, 12月 22, 2010

ネイティブスピーカーの単語力〈2〉動詞トップギア



前著よりも少し使用頻度の低い単語が中心に取り上げられている

が、筆者は
「ネイティブはイメージで覚えますから(キリッ」
というが、ネイティブもある程度反復運動で覚えると思われる
ちょっと筆者の語り口
「なんで誰もこんなわかりやすい伝え方で教えないんだろう」
に疲れて来たのでだいぶ読み飛ばした

月曜日, 12月 20, 2010

下流喰い―消費者金融の実態



Chikirinさんが勧められていた
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20061125
ので手に取るがそこまでびびっとはこなかった

「他書にないところ」はChikirinさんのまとめを読めばだいたいわかる

★★

金曜日, 12月 17, 2010

スティーブ・ジョブズ神の交渉力―この「やり口」には逆らえない!



アップル、ジョブズ、交渉力、というから手に取ってみると、ジョブズ氏がいかにとんでもない人か、ということがエピソードとともに延々と語られている。

恩義ある人でも必要であれば追い落としてきたとか
若いころにウォズニアックとした仕事では、ウォズがほぼすべて行ったのに、
報酬は1000ドルだったにも関わらず「600ドルだったから300ずつ山分けしよう」と700ドルを持っていったとか

人間なのでたまにはゴシップ的な内容もいいけど、そればかりだと食傷気味になり放り投げました
途中から読んでいないので未読の個所はわかりませんが

唯一いいと思った個所は、
情報とは情に報いると書く
と書いてあった、全然関係ないところ...

水曜日, 12月 15, 2010

Software Design (ソフトウエア デザイン) 2008年 04月号



第一特集でFreeBSD
第二特集でGit
Linux&Macの組み合わせの私なので第一特集のFreeBSDはあまり読んでいないが第二特集のGitは参考になった

月曜日, 12月 13, 2010

ネイティブスピーカーの単語力〈1〉基本動詞 (Native speaker series)



fetchは犬にボール取って来させるイメージ
Fetch the ball, Rocky!

recedeはadvanceの逆で名刺はrecession

becomeは変化を表すものの、come to be が語源なので時間の経過が感じられるもの
She is studying hard to become a lawyer.

developは「中から外に出てくる」「もともと中にもっていたモノがだんだんと育ってくる」イメージ
A storm is developing in the Sea of Okhotsk.

haveは状況も持てる
He had his arm around her neck.

he had .
という区切り。つまり
his arm is around her neck という状況を he had している。
Mum, my tooth hurts. I wanna have it out! も同様
学校で暗記した
I had my secretary call me a taxi.
もつまりは
I had
秘書がtaxiを呼ぶ、という状況をhaveした。つまり呼びにやらせた、になるだけ。
これは過去分詞になっても同様。
She had .
They had .
I had <2 teeth crowned>.

*4. 知覚を表す動詞
seeは目を通して頭に入ってくる、認識するイメージ
I looked everywhere but didn't see him.
seeにlookには見られない深みがあり、頭/心とつながっている
lookは例えば違う所を見ていた友人にあれ見てみろよ、と注意を向ける
watchはそれをさらにじっくり見るイメージ
Look at that couple dancing over there. Let's sit and watch them.
Look at that guy walking up and down in front of convenience store. I think we should watch him closely.

see/hear, look/listen が対応している
What are you hearing? は違和感あり。向こうからやってくる感覚のhearにそぐわない
What are you listening to? ならよし
What are you seeing? は違和感あり
What are you looking at? watching? ならよし

英語の動詞には行為から性質に変わる場合があり
I ironed this shirt easily.
=>
This shirts can iron easily.
The chicken tastes of fish.
This wine tastes like vinegar.
Your pie tastes delicious.
The milk smells bad.
Your skin feels like velvet.
This shirt can iron easily.
Our book is selling well.
This article reads smoothly.
He looked exhausted.
You look like a ghost.

*伝達をあらわす動詞
speak 口から音声が出てくるということに焦点
talk コミュニケーション(会話)に焦点
tell メッセージに焦点
say は口から出たことばに焦点
「よく話し合おうよ」は Let's talk it over. であって Let's speak it over. にはなりにくい。


などについて書かれている

★★★

金曜日, 12月 10, 2010

サービスが伝説になる時―「顧客満足」はリーダーシップで決まる



以前いた組織で勧められていた本
一度目を通した記憶があるが整理の為に再読

三人の男が働いているところにやってきた男、という有名な話

「何をしているの?」

男A
「石を切っているんだ。みじめな仕事だ」

男B
「家族のために働いているんだ。面白くはないけれど、これで食っていける」

男C(鼻歌混じりに)
「僕は大きな大聖堂を立てているんだ。神の栄光をたたえる証人として、人間の善の象徴として、それはここに永遠に建ち続けるんだ。この仕事は本当に楽しいし、報酬も計り知れないほど多いんだ」

従業員がミッション/ビジョン/価値/戦略目標を理解しているCの組織が一番成功する
いかに全員でそれらを共有できるかが大事

ノードストロームというアメリカの高級デパートに勤めた筆者
組織の全員がサービスを行う存在
現場の直接お客様に接する社員は当然お客様を持つ
リーダの顧客は部下であるし、間接部門の顧客は現場の人たち

いい本だと思うけど翻訳本だからか読みにくいかも
同じような内容がずっと書いてあるように思えた

★★★

水曜日, 12月 08, 2010

項羽と劉邦〈下〉 (新潮文庫)



いよいよ最終巻
内容が多く1エントリーにまとめるには無理があり支離滅裂にならざるをえない><

司馬さんの作品の数少ない不満は、地図が少ないこと
今回も上巻に少し載っていたが読み進めていく上で足りない


のようなものがあればよかった
(漢が載ってないけど三国志とか知ってれば充分か...)

中国と日本の歴史を理解する前にわかっておきたいことが
日本は局所的には飢饉があっても気候に恵まれているため全国的な飢饉になりにくい
中国はまれに全国的に飢饉に陥ることがあり、また異なる文化で食料を奪い合うこともたびたび
そんな中国であるからこそ、人々を食わしていける人物は英雄となる
英雄となっても食べさせていけなければさらに大きな英雄を求め、英雄のもとに人が次々と集まっていく

相変わらず項羽に百戦百敗する劉邦
逃げ出したいばかりに、「誰か漢王を代わってくれ」と張良や蕭何に毎度言い出す
その度に韓信や配下ではないものの項羽に悪い感情をもつ彭越に項羽を攻め込んでもらいなんとか目をそらしつなぐ

この巻では俄然韓信の存在感が増す
Wikipediaにも軍事史上名将と書かれるほど
劉邦が項羽と戦っている間に別働隊として働き、魏/趙/代/燕と次々にこの軍事の天才は落としていく
功績が大きすぎる配下はいつでも妬まれ落とされるためか、すでに劉邦の領土よりも大きくなっている韓信も「独立」を疑われ噂される

大国である斉を攻める、と言ったまま半年以上も待機している韓信
たしかに劉邦によって引き上げられたものの、「兵を送れ」と言われるたびに送ってきた韓信はすでに最初に劉邦から借りた資本は返しているし、送るたびに負ける劉邦に貴重な兵を送っても無駄だと思っている為か援軍してこない

が、劉邦は立場上いずれ韓信にも聞こえてしまうため表立っては韓信を批判しない
「俺が韓信でも独立するよ」
と項羽によって追われ兵を持たない劉邦は自嘲する

流れ流れて韓信の陣にたどり着いた劉邦は寝ている韓信をみつけ
「二千の兵を連れてさっさと斉を攻めろ」
と兵と全権委譲の印符を取り上げる、韓信はやむを得ず陣を発つ
韓信は劉邦を容易に亡き者にできたが呑まれてしまったのか強い恩義を感じていた為なのか

大国斉にわずか二千で向かうのを見て
「韓信がかわいそうだ」
と見た酈食其は
「自分が使者になるので斉にともに楚を討つ同盟を申し込もう」
と劉邦に告げ使者となる、劉邦はそれを韓信に伝えなかった

酈食其は難しい交渉を成功し、斉王は漢王劉邦と組むと約束した
韓信は交渉成功を知ったものの、配下の蒯通から
「我々は数ヶ月、数年かけて一国一国を落としてきた。
今この同盟を認めてしまえば我々の努力とこの舌先の活動が同一と評価されるがそれでもよいのか」
とさかんに勧めた。蒯通という配下さえいなければ、どのみち劉邦の皇后に疎まれていたかもしれないが、韓信ももう少しよい最後を迎えられたのではないか

同盟がなったと見て軍を緩めていた斉の国の城を次々と落としてしまう
「油断させる為でこれが狙いだったか!」
と激怒した斉王は酈食其を釜に入れて煮殺す
酈食其の最後も壮絶
「わしがあんたの前で述べた言葉はことごとく真実だ
あんたはこの酈のまなこを見、言葉をきいた
それでもなおわしという人間がわからずに烹ようとしている
つまりは腐った人間ということだが、そういう男に命乞いをするためにわしは韓信の陣営を行こうとは思わぬ
韓信はいいやつだ
それ以上に、このおれはいい士(おとこ)だ
士とは絶体絶命の境地に来てはじめて真価のわかるものだが、いま自分の命の惜しさに韓信のものにゆけばわしは士でなくなる
烹ろ
烹られるこのによって士になりうるのだ」
と言って斉王に唾を吐きかけた
斉は韓信に占領された

残された斉王は項羽と組む使者を送り、それに答えた項羽は有能な武将を送るも韓信はそれを河川を利用し破る
蒯通は韓信に仮の斉になるように勧め劉邦に使いを出す
劉邦は相も変わらず項羽との戦いに追われ、「もうだめだ」と窮地に陥っていた

そこに仮の斉王と認めるよう韓信からの使い
内心は激怒していたが
「ここで怒って認めなければ韓信が敵側につくことも考えられる」
と張良/陳平から言われた劉邦は
「仮の王などせこいことは言うな、正式の王を名乗れ」
と使者に伝える
張良は内心
「韓信はこのままで無事だろうか」と心配をする

戦いに明け暮れ正室をもうけていなかった項羽もこのころ虞美人を得る
司馬さんによると、美人というのは正室を除く後宮での役職であったとのこと

劉邦は多くのことで項羽に劣っていたが、野盗をしていたこともあるだけに食料やその補給に対しては意識が高かった
楚漢戦争の途中、劉邦が城をすていっそ食料庫を抱きかかえて防戦しようと張良に相談
「陛下にしては、おめずらしく」よい案を思いつかれましたな、と返され実行に移される
項羽は窮地に陥る

項羽はそれまで意にもかけていなかった韓信に使いを送る
韓信は
「私は項王が嫌いだから」「それは私を用いなかったかです」
「項王は忙しかったからでしょうが、当時忙しかったのは項王だけではなかった」
「漢王は好きです」「私を用いてくれたからです」
「士というものは、そういうものだ」「漢王は私に上将軍の印綬をさずけ、みずからの軍を割いて幾万という兵をあたえてくれた
それだけではない
ときには自分が着ている衣をぬいで私に着せ、ときに自分が食べている食物を押して私に食べさせた。
さらにはわが進言を聴き容れ、わが計画を用いてくれた
それがなければいま斉の地に韓信という人間が存在していない
あなたは項王の使いとして千里の道をきた
以前の韓信に会うためでなく、現在の韓信に会うためだが、その韓信ができあがったのは項王によるものかどうか」
「あなたは以前の私を知っているという
以前の私なら項王の使いとしてあなたはやってきたかどうか」
「項王を憎んでいない、ただ用いてもらえなかったということだ」
「それを水に流すことはできない
過去が積み重なってこんにちの韓信がある
流せということは韓信そのものを流せということだ」
「私は死んでも漢王に対する節操は変えない」
と伝えた

蒯通も韓信に散々「第三の勢力になるように」勧めるが意は変えられず、劉邦の耳に入ることを恐れ狂人の振りをして韓信の元を離れた

項羽との話し合いの途上傷を負った劉邦は弱気になり
「もうやめたい」と言い出す
張良にも蕭何にも代わってくれと言い出す

劉邦の客のひとりが
「天下を二分する」
という条件を持って項羽へ停戦の使者となり、項羽に大いに気に入られ停戦となる

弱気になっていた劉邦をおさめるため停戦やむなしであった張良が
「楚に戻り力を蓄える項羽にいずれ陛下は滅ぼされます
百敗した陛下に一敗が増えたといってなんでもないではないですか」
と軍をひいている項羽へ追っ手を出す

が、そこは項羽に百戦百敗の劉邦、そこでも負けてしまう
韓信や彭越に援軍依頼を出しても彼らは兵を出さない

韓信の場合は複雑で、自分は劉邦に恩を感じているので劉邦を討つことができず、できれば項羽が劉邦を倒してくれれば何の感情も持たずに項羽と戦えると思っていた

張良から
「項羽を倒した後の恩賞を提示した方が乗ってきやすい」
と提言
もう二人に全部くれてやる、ぐらいの気持ちとなった劉邦は自分の領土よりも多いぐらいの地を約束する

食料がなくなり少しずつ項羽から逃げ出していく兵たち
韓信との戦いで兵も失っていく
もはやこれまでか、と思った夜、楚の歌が陣の外から聞こえてきた
「わが兵が、こうもおびただしく漢に味方したか」
と感じ入り(四面楚歌)、皆で酒を多いに呑んだ
舞い歌ううちに、虞美人が他の手に渡るのを恐れた項羽はそれを伝え一太刀で虞美人を絶命させる
そして項羽は陣の外へ脱出する

劉邦は項羽の首に一万戸という大きな報償をつけたため多くが血眼になって項羽を探した
項羽は
「劉邦が項羽を滅ぼすのではない、天がそうするのだ」
と自分の終焉を最後まで飾る

「大王よ、早くこの舟にお乗りください」
と楚人がすすめる舟も好意を謝し、この男なら自分のやったことと、やろうとした志をながく世間に伝えてくれるだろうと伝えた
この惨状は自分の武勇によるものではなく天が自分を滅ぼそうとしているのだ、と
「かつて叔父とわしを信じ、西に向かった八千の子弟はすべて死に、ひとりとして還る者はいない
かれらを送り出した江南の父兄がわしをあわれみ、ふたたび子弟を募ってわしを王にしてくれたところで、わしには彼らにまみえる面目はない」
と漢の騎兵団に向かっていった

漢軍で同郷の者をみつけ
賞金がかかっているという、同郷のよしみでこの首くれてやる
と自ら首を刎ねた

そこに人間の欲望が群がり、項羽の死骸を無数の漢兵が肉の一片でも得ようと群がった
死体は5つに別れ、劉邦はその5人に5等分して約束の領地を与えた
戦場には項羽と識別できるものは何も残っていなかった
紀元前二百二年、項羽三十一歳

物語は漢成立ではなく項羽の死によって終わりとなるがその後ももう少し書いてほしかった
自分で調べてしまったけど、やはり帝国は没落/腐敗していくんだなぁと感慨にふける
あまり恩賞を受け取り過ぎると妬まれると警戒し過小の恩賞しか受け取らなかった張良も、自信は普通の死を遂げたが子供は罪に問われ領地を没収された

さすが司馬さん、文句なく★★★★

月曜日, 12月 06, 2010

殉死



パートナは名前に乃木希典の乃が入っていて名前を紹介するときに、
「乃木将軍の乃です!」
と言っていたが、では乃木希典とはどんな人?と質問されると答えにつまる。
司馬さんの他の書を読むと「残念なぐらい無能な人」、と描かれているが改めて手に取り読んでみた
とはいえ今時、「乃木将軍の乃!」というときょとんとされ、乃木希典からとられた「乃木坂の乃です」というほうが通じるのだとか
(乃という字もゲシュタルト崩壊しやすい字だな...)

当時本書が出された時は、「乃木は有能な将軍だ!」と日露戦争の英雄を擁護する反論も多かったそう

が、著者は著者の調査から「戦に関しては無能だった」という視点で論を進める
男は強いもしくは頭の切れる英雄にあこがれるので途中までは正直つまらなかった

長州のしかも松下村塾出身であったため能力と関係なく若くして西南戦争時には中佐に任ぜられる
その時、戦のまずさから軍旗を敵に奪われ、これに責任を感じ「死んで陛下にお詫びする」と周りが止め監視しようやく収まる

毎晩酒を飲み歩く生活であったものの、ドイツ留学を機にやめ、服装も就寝時を含め常に軍服を着る

日露戦争で戦術への固執から数万の日本軍を死に至らしめ、親友児玉源太郎が降格して代わりに指揮を取りようやく旅順/203高地を取る
・乃木と近かった明治天皇が「更迭したら乃木は死ぬ。乃木を死なせるな」と配慮
・更迭すると日本軍劣勢と各国の報道が報じ、結果不利な条件でしか日本の債権が発行できなくなる
ため公にしなかったと書く

明治天皇が没し、その後の葬儀の日、乃木は自宅で生を閉じる
自分の存在を明治帝を守るためと位置付けたので、役割が無くなった時点で生を続ける意味がない、という思想

司馬さんの魔術か、終わりに近づくと、「こういう人生も悪くないかも」と思うようになってきた
パートナーに話しても、
「利害とかなく自分の信じる信念のために生きた男はかっこいい!乃木将軍の乃でよかった!」
とのこと。うらやましくないけど。

★★★★

金曜日, 12月 03, 2010

項羽と劉邦〈中〉 (新潮文庫)



中巻から劉邦の元にきら星のごとき有能な人材が集まってくる
しかし紀元前200年ぐらいの出来事がここまで詳細に資料として残っているのはすごい

まずは蕭何
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%95%AD%E4%BD%95
蕭何は上巻から出ていたが、中巻でも劉邦を支える
元々劉邦を野から引っ張り上げてきたのも蕭何
ある意味で最前線の戦闘よりも重要であるとも言われる、いわゆる兵站と言われるような役割を担当
小説に内政は書きづらいためあまり書かれていないが、兵站も含めた全裏方であたり内政を担当していたと思われる
秦の都を落とした時も、多くが当然ではあるが、金銀や女などを求め無秩序状態に
が、蕭何は一人、秦の歴史書や法律、各国の人口記録などの保管にあたる
蕭何に取ってはこれらが金銀財宝以上の宝物だった
この行動がなければ後、項羽が都を焼き討ちに近い状態にしたため貴重な情報も消えていた
これが漢王朝の基礎作りに役立ったと言われている。

続いて張良
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B5%E8%89%AF
元々は韓王に使える家系、韓を滅ぼした秦への復讐をかてに生きていた
始皇帝を襲ったが未遂に終わったため、追われものとなる
秦を倒せる勢力ではないかと劉邦に従い力となる
劉邦の元ではほとんど戦場に出なかったものの、人望以外の特技がなかった劉邦の頭脳となる

韓信
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E4%BF%A1
もともとは家柄も何もなく、項羽の元に勤めていたが進言しても用いられることがなかった
ただ軍を率いて自分の力を試したい、という考えの元、劉邦に付き従うも閑職であったため逃げ出す
蕭何が劉邦に推薦し、「蕭何が言うなら」と大将軍に大抜擢
以後、戦うたびに負ける劉邦軍の中にあって唯一戦えば勝つ

楚の王の
「関中に一番乗りした者に関中を与える」
という発言から楚連合は先を争い関中に向かう
が、楚王は項羽が一番乗りしてしまうと、楚を丸ごと取られると、一番秦が手厚く守っている経路をあたらせる
項羽が秦の名将と争っているうちに、劉邦軍は関中を落とす
関中は秦の都で今で言う西安のあたり
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E4%B8%AD

趙高の最後もすさまじい
自分が立てた三男の二代目皇帝を劉邦に取り入る為に殺害
「なぜこんなことになっていることを伝えなかった」
という皇帝の発言に対して家臣は
「伝えなかったからこそ私が今ここにいる。趙高に対して信頼の厚い皇帝に伝えても私が殺されていた」
が、趙高は二代目皇帝の子供(三代目皇帝だがもう統一はくずれたため秦王を名乗る)に殺される

劉邦はそばにいた雑用係の進言に乗せられ、関中を閉じてしまう
それが項羽の逆鱗に触れる
鴻門の会(詳しくはwikipedia参照)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B4%BB%E9%96%80%E3%81%AE%E4%BC%9A
でなんとか一命はとりとめるが、項羽に目を付けられ手柄も「巴蜀の王」となる
巴はミミズ、蜀は虫、当時は流刑の地で一度行けば戻れない地だった

今まで従っていた人々も、あまりの過酷さに向かう途中に次々と逃げ出してしまう
これは関中に打って出ねばなんともならんと関中に引き返し奪う
関は三秦と呼ばれ、元秦の武将たちが納めていたが、人々からは
項羽の生け埋めから自分たちだけ生き残って、と評判が悪かった
かたや劉邦は、ほんの一時期だったが治めた間は善政を敷いた為評判が良かった
そのため簡単に関中は落ちた
項羽には
「関中が欲しかっただけで争うつもりはありません><」
という態度を一貫して取り続ける


項羽は韓の王も項梁/項羽自身が立てた楚の王も、邪魔になったため殺す


劉邦は、特に名指しではないものの
「忠心なく王を殺害した者を倒そう」
と勢力者たちに呼びかける。なんと一気に56万が集まる
項羽が他の鎮圧に出かけ手薄だった主城を簡単に落とす

が、所詮は急に集まった人たち、なんと項羽は「3万で充分」とそれだけ連れて引き返すと散ってしまう
劉邦は命からがら逃げる
逃げる時も邪魔であれば自分の子供も突き落とした
当時としては、やや突飛だがそこまで突飛でもなく、子から親は生めぬが親は子を再生産できる、という思想もあった

当時の中国は、家族/親族や出身こそが大事で重要視していた
家族/親族/出身地の集まりが社会であると思われていたため自然の考えだった

項羽は有能な配下もいたものの、最終的には自分の親族だけを側近としていたた
劉邦配下の陳平
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B3%E5%B9%B3
はそこに目を付け、離反の策をはり、徐々に項羽から優秀な配下は離れていく

項羽に比較して劉邦は、そもそも家族の中でも浮いた存在だったし、出身地でも同様だった
あのゴロツキ/チンピラ上がりが!とバカにされていたため
そのため積極的に人を登用していった

巴蜀という字を調べていたら最近までよく行っていた所に美味しそうなレストランが
今度行ってみたい
http://gourmet.livedoor.com/restaurant/13154/

一冊に多くが詰め込まれているためうまくまとめにくい><

★★★★

水曜日, 12月 01, 2010

ネイティブスピーカーの英語感覚―ネイティブスピーカーの英文法〈3〉



良著だとは思うものの少し冗長

助動詞 must/will/can/may
Up、Down、Out、Off
などについて書かれている

must/will/can/mayの違いが元々は確率の問題であり
100%であるmustが命令になり、それよりも確率が低いことのために使うのがwillであたりcanであったりするので、"未来"や"可能"を表す、というのは高校だか大学当時にどこかで納得していた
なので前著の前置詞と同じように
「誰も説明しませんがこんなからくりですよ」
というほどには新鮮みは感じなかった
(それを説明してくれた人だか本だかがこれを読んでいたのかかもしれないが)

★★★