月曜日, 12月 06, 2010

殉死



パートナは名前に乃木希典の乃が入っていて名前を紹介するときに、
「乃木将軍の乃です!」
と言っていたが、では乃木希典とはどんな人?と質問されると答えにつまる。
司馬さんの他の書を読むと「残念なぐらい無能な人」、と描かれているが改めて手に取り読んでみた
とはいえ今時、「乃木将軍の乃!」というときょとんとされ、乃木希典からとられた「乃木坂の乃です」というほうが通じるのだとか
(乃という字もゲシュタルト崩壊しやすい字だな...)

当時本書が出された時は、「乃木は有能な将軍だ!」と日露戦争の英雄を擁護する反論も多かったそう

が、著者は著者の調査から「戦に関しては無能だった」という視点で論を進める
男は強いもしくは頭の切れる英雄にあこがれるので途中までは正直つまらなかった

長州のしかも松下村塾出身であったため能力と関係なく若くして西南戦争時には中佐に任ぜられる
その時、戦のまずさから軍旗を敵に奪われ、これに責任を感じ「死んで陛下にお詫びする」と周りが止め監視しようやく収まる

毎晩酒を飲み歩く生活であったものの、ドイツ留学を機にやめ、服装も就寝時を含め常に軍服を着る

日露戦争で戦術への固執から数万の日本軍を死に至らしめ、親友児玉源太郎が降格して代わりに指揮を取りようやく旅順/203高地を取る
・乃木と近かった明治天皇が「更迭したら乃木は死ぬ。乃木を死なせるな」と配慮
・更迭すると日本軍劣勢と各国の報道が報じ、結果不利な条件でしか日本の債権が発行できなくなる
ため公にしなかったと書く

明治天皇が没し、その後の葬儀の日、乃木は自宅で生を閉じる
自分の存在を明治帝を守るためと位置付けたので、役割が無くなった時点で生を続ける意味がない、という思想

司馬さんの魔術か、終わりに近づくと、「こういう人生も悪くないかも」と思うようになってきた
パートナーに話しても、
「利害とかなく自分の信じる信念のために生きた男はかっこいい!乃木将軍の乃でよかった!」
とのこと。うらやましくないけど。

★★★★