金曜日, 3月 29, 2013

ローマ人の物語〈35〉最後の努力〈上〉



この巻の主役はディオクレティアヌス
塩野さんは
最後の努力
という、ある意味あたってるけどある意味どうだろう
帝国を西方東方と分け、途中からは四分割したため軍事組織や官僚組織は肥大化し当然のようにセクショナリズムをつくり肥大化していく
◯アウグストゥスのように小さな政府
・政府の歳入に合わせてやることを決めていく
から、
◯ディオクレティアヌスの大きな政府
・政府がやることを決めてそれに必要な税金を徴収していく
と変わっていく
ディオクレティアヌスはローマを再建したかったんだろうけど、事実帝国に害を及ぼしそうなキリスト教を押しとどめたり、でもセクショナリズムを作り結局生きづらい世の中にしてしまったという意味では最後の努力でなく、最後の追い打ちかな

水曜日, 3月 27, 2013

ローマ人の物語〈34〉迷走する帝国〈下〉



この時代のローマはめまぐるしく皇帝が変わっていく
もうローマ史研究の人たちでも資料片手じゃないと思い出せないんじゃないかとw

なかでもたまにアウレリアヌスのようにローマ帝国を再建してくれるんじゃないかと期待させる皇帝が出るも、大げさにいえばカエサルのように、ぬるい日常を変革されるのは嫌だよ、という人たちに暗殺されてしまう
衰退期や終わりはこんなものなんだろうなぁ

ユリウス・カエサルは、ローマの防衛は国境でやると言って、それまであったローマの城壁を壊した。その三百二十五年後、アウレリアヌスは城壁をつくる。考えてみて下さい、この間の歩みを。
と書かれているのも感慨深い

人間は常に進歩しているんじゃないんだなぁ
これを読むまでは大局的に見れば人間とは常に進歩しているんだと思っていた
アウレリアヌスのような有能な人にかかっても人間は退化しちゃうんだねぇ
カエサルやアウグストゥスがずっと統治してたら、ローマ/ヨーロッパは今頃どこまで行ってたんだろうと思わせる

月曜日, 3月 25, 2013

ローマ人の物語〈33〉迷走する帝国〈中〉



この巻は1年で5人皇帝がいる年もあったりでもうローマも崩壊に向けてひた走る
なかでも一番の象徴が
皇帝捕らる!
最前線で病没した皇帝は今まで何度かいたものの生け捕りにされたのははじめて
我らのローマはどうなってしまうのか...
って、前回も同じ終わり方だったかな..

金曜日, 3月 22, 2013

ローマ人の物語〈32〉迷走する帝国〈上〉



後を振り返って
何がローマを滅ぼしたのか?
という問いかけの、有力な答えの一つが
カラカラがローマ市民権をすべての人に与えたこと:誰でもローマ市民とした「アントニヌス勅令」
「取得権の既得権化」と呼び、軍役などの義務を果たさなくなるきっかけになった
ノブレス・オブリージュも働きにくくなった
だろう

混乱の三世紀で73年の間に22人の皇帝が、という停滞期の日本みたいになってしまっている
ぼくらのローマはどこにいってしまうのか><!

水曜日, 3月 20, 2013

ローマ人の物語〈31〉終わりの始まり〈下〉



コモドゥスが愚帝だったので暗殺され、コモドゥスが生きている間は忠実にマルクス・アウレリウスの遺言通りにコモドゥスを補佐していた人物たちが立ち上がっていく
五人の武人が争った内乱で最後に勝ったのはセヴェルス
ただ、ブリタニアでこのひとが最後に兄弟なかよく、と二人の息子に託した後の言葉が感慨深い
「私はすべてやってきた。ただそれもいまとなっては何の意味も無い」
兄弟仲が悪く殺し合いor内乱に陥り自分の作った帝位も終わり、死後に自分もどんな不名誉を受けるかもわからない
という予感がしていたためと思われる
結局予感はあたり兄弟が殺しあう事となる...

月曜日, 3月 18, 2013

ローマ人の物語〈30〉終わりの始まり〈中〉



戦地の最前線で戦士ではないけど没したマルクス・アウレリウス
最後はやむを得なく自身のコドモのコモドゥスに託す

マルクス・アウレリウスは子沢山だったようだけど、
子供は選べないが後継者は選べる
という人がいたのは含蓄のあるいい言葉だと思う

子供がいたらその子供に継がせないと担いで良からぬことを企む勢力もいるわけだし難しいところ
しかもまだ評価をつけづらい年齢だったらなおのこと難しい

結局このコモドゥスはカリグラやネロと同じく愚帝で内戦を引き起こしていく

金曜日, 3月 15, 2013

ローマ人の物語〈29〉終わりの始まり(上)



一旦時代を超えたローマのインフラのまとめを27巻28巻で挟んでからの、五賢帝最後のマルクス・アウレリウス

彼らが五賢帝と認められているのも、単にトライアヌスとハドリアヌスの貯金でしょうねぇ

ピウスにしろマルクス・アウレリウスにしろ、軍事に携わる機会が少なすぎてローマにしかいなさすぎたものと思われる

一番有名なマルクス・アウレリウスからローマの崩壊がはじまった、というのは塩野さんもしくは出版社がキャッチーに書きたかっただけで、本当に言いたかったのはマルクス・アウレリウスの前のピウスから始まっていたと言いたかったんだろう。
それ言い出しちゃうと、マルクス・アウレリウスを指名したのはハドリアヌスで、そのハドリアヌスを本当にトライアヌスは指名したのか??とどうどうめぐりになっちゃうけどw

おそらくこの時代から、日本で言うケガレ思想のような
権力を持った人たちが何代か続くと戦がケガレたもので必要だとしても
自分の目につかないところでうまいこと機能しといてほしい
という気持ちになっていくんだと思う

このあたりは兵士が町中で尊敬される存在か、それとも少なくない人たちは自衛隊をあまりいい目で見ないことと同じ構造だと感じる

「アウグストゥスだって主にローマにいて戦場にいかなかったじゃん
オレ、ハドリアヌスとかドライアヌスみたいなの目指してないんだよねー
やっぱオレってばアウグストゥスじゃん?
古代三大美男にも入るアウグストゥスちょっと入ってね?」
とピウスは思いなら日々のまつりごとを行ってたんだろうと想像するけど、アウグストゥスは別格の天才なので同列にできなそう。

一歩間違えたら警備ぐらいの人数しか持っていなかったアウグストゥスが、アグリッパとアグリッパの死後はティベリウスのような戦もうまくて軍隊も持っていた人たちにクーデターされる可能性もありながらすべてを任せてたわけだしね

アウグストゥスは自分の体が弱い分人に任せる、という意味で松下幸之助さんに近かったんだろうね
ふたりとも結果的には長生きしたし
幸之助さんは美男じゃないけどね

水曜日, 3月 13, 2013

ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマに通ず〈下〉



27巻に続いてローマのインフラを取り上げる
27巻が街道や橋、水道などを取り上げていたのに対してここでは教育や医療、税、法、についてなどソフトのインフラを取り上げる

私の性格的にもインフラは好きなので読んでいても楽しい:)
カラー写真も相変わらず多いしね:)

月曜日, 3月 11, 2013

ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉



今まで時系列にローマを追ってきた塩野さんが一旦立ち止まってローマのインフラを取り上げる

塩野さんが
この人の頭のなかはどうなっているんだろう?
と思うほどの天才はローマ史上二人いて
一人はユリウス・カエサル
もう一人はアッピウス・クラウディウス
まだローマが弱小国家だった時代に街道を築くことを財務官として決議してアッピア街道を作っていった
そればかりでなく...
この2000年後の現代でも飲水が充分でない地域が多い中で、水道を築いていった

ここではまず、全街道を合わせると地球何週か分になるというローマ街道を主に取り上げる
カラー写真も多くて見ているだけでも楽しいよ:)

金曜日, 3月 08, 2013

ローマ人の物語〈26〉賢帝の世紀〈下〉



ハドリアヌスの、
晴れの日に雨の日の準備を怠らない
施策により、その後のローマの平和が実現できた
けれんども、長く厳しい地方めぐりで心身ともにガタが来始めていたトライアヌスも最後には気難しいじいさんになっていき、元老院と市民の双方に嫌われるようになる

後を継いだピウスが涙も流さんばかりに訴えなければ記録抹殺刑になっていた
ピウスは、ハドリアヌスが
マルクス・アウレリウスという若者を後継者としたいけど若すぎるからそれを養子にするなら帝位を譲るよ
と言われて受けた人物

治世中に何も起こらず一般的な評価は高いが、はっきりとはいわないものの塩野さんの評価は低い
トライアヌスとハドリアヌスの貯金で暮らして特別なにもしなかったから何も起こんなかったんだよね
特に何もしてないから書くことないよ
という感じで終わる

水曜日, 3月 06, 2013

ローマ人の物語〈25〉賢帝の世紀〈中〉



トライアヌスの跡を継いだハドリアヌス
もともとトライアヌスとは同郷で、ハドリアヌスの父親が早死したので息子を頼むと代父役をしていたのがトライアヌス

トライアヌス自身は天才的な武将ではなかったものの慎重に準備を進めるためほぼ負けなしだった
最後にオリエントに向かって結局そこで命を落とす
トライアヌスはハドリアヌスをかわいがっていたものの、身内贔屓をしないようにしていたため後継者に指名したのかどうなのかははっきりとわからないと塩野さんはいいつつも、ハドリアヌスを特別にかわいがっていたトライアヌスの妻に内密に呼ばれ、その後遺言が公開された

ハドリアヌスも充分いい皇帝だった
内政を担当する内閣を組閣し機能させた後は自分自身は少人数を引き連れて広大なローマ全土の防衛に問題がないか視察の旅に出る。
2回に分けてなんと治世の2/3を地方を見まわる旅で費やす
このハドリアヌスの、
晴れの日に雨の日の準備を怠らない
施策により、その後のローマの平和が実現できた

月曜日, 3月 04, 2013

ローマ人の物語〈24〉賢帝の世紀〈上〉



悪い皇帝じゃなかったのに周りに気を使わなかったので暗殺され記録抹殺系になったドミティアヌス
その後を継いだのはネルヴァ
この人は皇帝になった歳が高齢で子供もいなかったので、次を誰にして良いかのモラトリアム人事だったのかな

治世も短くて
ネルヴァが五賢帝に挙げられるのは、次にトライアヌスを指名したため
とも言われるぐらい

そのトライアヌス
ヒスパニア出身という、イタリア生まれでない初の属州生まれの人
その意味で張り切ってトライアヌスは政治でも軍事でも良い成果をだし、彼の治世中にローマは最大の版図となる

金曜日, 3月 01, 2013

ローマ人の物語〈23〉危機と克服〈下〉



ヴェスパシアヌスの後を継いだのは長男ティトゥス
彼はヴェスパシアヌスがばりばり現役の頃から軍事も政治も共同皇帝のように支えていたし、良き皇帝であろうと努めていたからいい皇帝だった
自分が惚れた人がオリエント出身を理由にローマ市民にブーイングを受けたので結婚を諦めたりなどなど

災害などに見舞われ、それに対しても適切な処置をしていたけど過労かもともとの寿命か、短命で終わり次は10以上も歳の離れた弟のドミティアヌスに引き継がれる

ドミティアヌスはティトゥスと違ってヴェスパシアヌスに鍛えあげられなかったのに、その後もローマの防衛に役立ったゲルマニア防壁を作ったりなどなかなか善政を行なっていた模様
模様というのはやったことはいいのに、終盤のティベリウスと一緒で、
結果だしゃーいいんだろ
という政治の仕方で元老院にも市民にもあまり気を使わず好かれなかったので、きっと悪くない政治をしたのに「記録抹殺系」となってあまり業績が残っていない

ティトゥスは苦労した父親ヴェスパシアヌスの姿を見ているけど、ドミティアヌスは物心ついた時から父親はローマ内では皇帝だったので、いい意味でも悪い意味でも泥臭さが足りなかったんだろうね