東條英機 歴史の証言を先に読み勉強になったけど、思想や考えが偏るのは嫌だったので次に逆の考えをしている本書を読んで見る。
張作霖爆殺と統帥権干犯からはじまり、上巻ではポツダム宣言受諾までていねいに説明をしてくれる良書だと思う。
君側の奸
栄光ある孤立
天皇機関説
二・二六事件
盧溝橋事件
南京事件
ノモンハン
米英との対立
三国同盟
南進論
ミッドウェー
ガダルカナル、インパール、サイパン
東京大空襲、沖縄本島決戦
ポツダム宣言、終戦
などが学べる
ただ全体としては国内の記述が多く、自虐過ぎるんじゃないかと感じた。
明治の人たちと比べてこの昭和時代の人たちは受身的だから、ロシア革命や反共やコミンテルンのような海外の動きがないとわかりにくいと思う。
・明治に比べて昭和初期が受身的
・40年周期で建設と破壊を繰り返していると著者がいう
のは一緒の原因だろう。
維新の混乱が収まって組織が硬直化すると年功序列になり閉塞感が充満する。
海外事情がなければそりゃ軍隊が調子に乗って勝手に暴走した、になるけども。
あとはさらっと流してるけど、開戦はハル・ノートや石油などの日本への輸出禁止、日本の財産差し押さえ、日本人排斥運動、近衛文麿の異常さ、などに触れないとわかりにくい。
輸出禁止は事実上の宣戦布告なわけだし、それ以上のハル・ノートは要約すると
「アジア人wwどうせ白人にひれ伏すしww」
というとんでもない内容。
日本に
満州など進出したところから即時すべて撤退しろ
というのは、アメリカに
中央と西部など進出したところから即時すべて撤退しろ
というのに等しい。
満州はもともと中国のものではなかったのだから(自分たちの領土じゃないからこっからこないで!というために万里の長城があるわけだし)、そういう意味だと、イギリスに
アメリカから即時撤退してモンゴロイド/ネイティブアメリカンに返せ
ともいえるか。
そんなことを進出先からならわかるが他国から言われるというのは???だし、譲って飲んだとしても即時撤退なんてできるわけがないのがアメリカのイラクやアフガンでもわかる。
すでに移住している100万の日本人や朝鮮人はどうなるのか?あまりに無責任。。
結局「中国に返した」おかげでもともといた満州族は絶滅したわけだし。
アメリカ人には伝わらないだろうけど、アメリカが戦争をしたくてたまらない、手を出させたくてたまらない、というのは明らか。
あとよく
軍が暴走した
というけど、満州とか最前線の極限状態に置かれたら何が起こるかわからない容易に想像できる。
最前線から離れて
陸軍がww海軍がwww
というのは簡単だけど、日本人居住者たちが反日活動の被害者になっている状況に対して幣原外交的な何もできない状況の悔しさは共感できる。事実責任を感じて切腹した人もいた。
最前線に置かれた極限状態も知らずに、安全な場所から
馬鹿な陸軍がw
馬鹿な海軍がw
とか安易にはいえない。
あと、どさくさに紛れて満州に攻め込んだソ連との一週間戦争は、攻め込んだのまではお互い言い分があるにしても無抵抗な一般市民含む戦死8万人、57万4538人が捕虜としてシベリアに送られ強制労働させられ、無事引き上げてきた人たち47万2942人。
死者の数でいうと
ニューギニア15万7000人
フィリピン47万6800人
沖縄10万9600人、市民10万人
本土空襲29万9485人
に匹敵する犠牲者の数になり許せん。
という、私はひーだかひーひーだかひーひーひーだかわからないぐらいの遠縁がロシアなんですがw
ひっかかるところはあるものの、全体を学べていい本だと思います。