この巻は主人公とされる秋山兄弟は出てこず、日露戦争の陸海両面を中心に外交、スパイ、日英同盟、戦費調達の描写が主人公。
乃木希典と伊地知幸介をトップに抱える旅順攻撃用のこの乃木司令部を
「世界戦史にもまれにみる無能司令部」
とこきおろす。
ここまで書かれると、遺族だったり子孫だったりの気持ちはどうなんだろう...とかいらんこと考えてしまったり。
司馬さんは乃木が嫌いとかそういう議論も呼んだようだけど、殉死とかを読むと、軍事に向いていないだけで他の才能があった。これはこれで魅力のある人間だしいい人生だ、と思わせる。
メモ:
農業社会
有能無能の価値基準はなく、自然の摂理に従って、きまじめさと精励さ嵩が美徳。
狩猟社会
それぞれの能力によって部署に配置され、全体の一目標のために機能する。
その中では指揮者が必要。この社会では人間の有能無能が問われる。
世界史的にみて、狩猟民族は軍隊を作ることに熟達している。