日露戦争決戦前夜
ロシアの性癖とも言える領土拡大、南をそして不凍港を求める活動に日本というネズミが巨像に立ち向かわざるを得なくなる。
日露戦争の、坂の上の雲の主役のひとり、児玉源太郎が渋沢栄一に向かっていった言葉が象徴する
「・・いまなら、なんとかなる。日本としては万死に一生を期して戦うほか、残された道がない。」
とまでいうと、児玉は両眼からおびただしい涙を流した。
日清戦争で活躍し、日本の海軍の礎を作った山本権兵衛が海軍大臣のとき、日露戦争で欠かせない旗艦“三笠”を英国に発注した。
発注しなければいけない状態だった。
しかし、資金繰り逼迫で万策つき、どうにも前払い金が払えない。
時の内務大臣西郷従道は、事情を聞き終えると
「それは山本さん、買わねばいけません。
だから、予算を流用するのです。
むろん違憲です。
議会で追及されて許してくれなんだら、二人で腹を切りましょう。
二人が死んで主力艦ができればそれで結構」
司馬さんの作品の中では比較的時代が近いので
この時代にはこんな人間がいたんだ、まるごと愛国だ、それもそこらじゅうにいたんだ
ということでアツくなれる。
正岡子規が亡くなり、平和の時代が終わりを告げ、日露戦争へと移っていく。