水曜日, 5月 11, 2011
楽天大学学長が教える「ビジネス頭」の磨き方
楽天大学を通して楽天市場の出店者30,000社と関わってきた著者
良著だったので複数回に分け
お客さんの視点、視野、視座に立つ
よく言われることだが実際には売り手視座からお客さん視点を想像しているだけのことが多い
例えば店舗の方々に洋服の画像を見せ
「ネットでこの商品を売るためのページを作るとします。どんな情報を載せますか?」
というと
「価格/サイズ/色/素材」
などいろいろな視点が出てくる。
「もう出ない」
というところで視座を変え
「自分でこの商品を買おうとしています。今ここに出ている情報だけで注文ボタンを押せますか?」
とすると、どんどん新たな視点が出てくる。
手触りはどうか/素材の厚さ/着心地は軽いか/動きやすいか/裏地の写真/背中の写真/袖口やボタンの拡大写真/縫製部分の拡大写真/選択方法/実際に買った人の声/おすすめのコーディネートetc
そこにニーズや要望が存在するのに視座に立たないと見えない。視座と視野をセットで使う。
ネットショップに限らず、モノが売れる現場には
ひとけ
ものけ
とんがり
の3つが存在する。
そのためネットショップのページを見ると売れているかどうかがわかる。
1. ひとけ
お店にお客さんがたくさん入っている感じ
売れるネットショップであればページに
販売実績1万個突破!
昨年ご利用いただいたお客様は26,270人!
月間アクセス55万PV
メルマガ会員20万人
レビュー数1万件突破
先週の売れ筋ランキングトップ30
当店の商品◯◯がブレイク中と雑誌で取り上げられました
など
2. ものけ
欲しい商品が見つかりそうな予感
全8,265商品と商品の多さが買いてあったり
商品別の切り口も「価格別、用途別、色別、アウトレットコーナー、店長の秘密部屋」など
3. とんがり
圧倒的な価値を創造する、突き抜けた強み
ほかのお店じゃなくて、このお店で買ってもいいや、と納得出来るだけのウリ
一目で違いがわかるもの
ネットショップであればそれをトップページのスクロールしないで見える部分にわかりやすく書く
中学生にも誤解なくわかる言葉で伝える
因数分解する
売上 = 集客 × 接客
とすることで、集客視点と接客視点で分けて施策を打つことができる
他にも
客数 × 客単価
短期 × 中長期
売上 × コスト
結果 × プロセス
スピード × 品質
自分の利益 × 相手の利益
など因数分解してみると新しい考えが出てくる
ビジネスで視野を広げるには
視点を増やす
視座を離す(高める/一歩引く)
楽天に出品している店舗で189万円のヨロイを売る店がある
これをマニアの方以外にも買ってもらうにはどうすればいいか?
お店サイトには端午の節句に飾られたヨロイと元気な男の子がたくさん写る「お客様の声」欄がある
親やおじいちゃんおばあちゃんが「子や孫が健やかに育ってほしい」という願いを込めて買っていく
コスト:189万円 > メリット:ヨロイ
だったものが
コスト:189万円 < メリット:ヨロイ+子どもの成長
となり、お客さんのベネフィットシーソーが逆転する
お客さんの5大コストは
1. お金 (経済的コスト)
2. 時間 (時間的コスト)
3. 労力・手間 (肉体的コスト)
4. 考えること (頭脳的コスト)
5. 気を遣うこと (精神的コスト)
と言われる。
転じて、5大ベネフィットは
1. お金 (経済的ベネフィット)、儲かります、お得です
投資、値引き
2. 時間 (時間的ベネフィット)、時間を生み出すこと
特急料金、M&A
3. 労力・手間 (肉体的ベネフィット)、カラダが楽になったり、労力や手間が省けたりすること
薬、マッサージ、ページ制作代行
4. 考えること (頭脳的ベネフィット)、考えなくて済むこと
ハウツー系の情報、アドバイス
5. 気を遣うこと (精神的ベネフィット)、安心できる、楽しさを感じられる
ブランド品、なじみの店、人気ランキング、ディズニーランド
特に「楽しさを感じられる」の力は強い
ディズニーランドは他の4つのコストは大きいにもかかわらずこの要素だけでひっくり返し強烈な信者を多数作っている
ここで一番大事な「楽しさを感じられる」はさらに5つに分解できる
1. カラダが喜ぶ (SENSE)
五感
2. ココロが喜ぶ (FEEL)
感動、安らぎ、心地よさ
3. アタマが喜ぶ (THINK)
ワクワクイメージ、アイデア発想
4. ステキな生き方 (ACT)
夢中、体験、ライフスタイル
5. 人とのつながり (RELATE)
共感、信用、信頼
霧中な依存人は経済的ベネフィットに目が向いている
夢中な自走人は楽しさのベネフィットに目が向いている
子どものいる人の視座に立たないと
コスト(189万) < ベネフィット(ヨロイ+子どもの健やかな成長への期待)
の図式をお客さんに提示できない
また、ベネフィットが上回ったとしても、お客さんは「他のもっと安い店」を探す
それを自社で買ってもらうにはどうするか?店舗で「楽しさ」を充分に伝える
例えば楽天で出店しているところてん
味もおいしいし、一度食べるとスーパーで売っているものと違いがわかる
だからといって、スーパーのところてんをこきおろすような
「あんなのはニセモノだ!だまされるな!」とすると暗くなり楽しさは伝わらない
お客さんの声には
押し棒でむにゅっと出して子どもたちも大喜びでした
プチュンと出てくるのが楽しくって、かなりハマってしまいます
など、「ところてん」をうるのではなく「ところてん体験の楽しさ」を味わってもらう
霧中な依存人は競争相手を蹴落そうとし
夢中な自走人は競争相手からも憧れられる
コピーには
1. 新聞型と雑誌型
2. ハッピー型とダメ出し型
がある
1.
新聞型
楽天、ソフトバンクに勝つ 終盤に大量得点
雑誌型
あの監督が名言「あ〜。あったね。」
雑誌型はつかみの対象は増えるが対象や場面によっては新聞型が良い時もある
2.
ハッピー型
「今、あなたはハッピーだと思うけど、これでもっとハッピーになれますよ」
ダメ出し型
「気づいてないかもしれませんが、あなたは今、苦痛な状態にあります」
ダメ出し型は瞬発的には行動を起こしてもらいやすいが不安に駆られたお客さんが集まってきやすく、お客さんもスタッフも暗くなる
「一人で悩んでいませんか?」など当事者意識を持たせる程度にすること