金曜日, 9月 21, 2012
坂の上の雲〈7〉
ロシア側の陸のクロパトキン、海のロジェストウェンスキーの作戦のまずさにもたぶんに助けられ日本は勝ちと呼べるのかも見ようによってはわからない辛勝を重ねていく
大山巌や児玉源太郎が開戦当時から
四分六分のたたかいをどう五分五分にもっていき、六分四分にしたときにうまく講和できるかだ
という状態に少し近づいていく
児玉源太郎はもちろんのこと、大山巌は開戦前に参内したとき
「かならずロシア軍を満州から駆逐して見せます。
しかしながらそのあとのことはそれがしの測りうるところではございませぬ」
と答え、海軍大臣山本権兵衛にも
「軍配をあげるほうをよろしくねがう」
と伝えてきた
しかしその講和の中で、欧米は例えば英や米は日本側ではあるものの、アジアの中であまりに日本が突出するのを望まなかった
もともとがロシアがアジアで強大になるのを抑えるために日本という道具を使ったが、思いのほかその道具が頑張る子でこのままではおもしろくない
日本よりの発言をすることから、日本の弁護士と言われたルーズベルトももちろん日本を利用し自国の利を考えていた
当時から日本を仮想敵とし海軍を増強するよう指示をしていた
また、仏や独のように、事実三国干渉で日清が合意していた遼東半島の地のように、いかにどさくさにまぎれ満州近辺という肉を自国領土にするかという駆け引きを始めだした。
仏はさかんに日本大使に
日本が賠償請求をしないのであればロシアは講和してもいいといっている
と屈辱的な工作をしだす始末だった
日本はこの戦争を通じ、前代未聞なほどに戦時国際法の忠実な遵法者として終始し、戦場として借りている中国側への配慮を十分にし、中国人の土地財産をおかすことなく、さらにはロシアの捕虜に対しては国家をあげて優遇した。
その理由の最大のものは幕末井伊直弼がむすんだ安政条約という不平等条約を改正してもらいたいというところにあり、ついで精神的な理由として考えられることは、江戸文明以来の倫理性がなお明治期の日本国家で残っていたせいであったろうと思われる。
日本はよき国際慣習を守ろうとし、その姿勢の延長として賠償のことを考えた。
欧州にあっては戦勝国が戦敗国から戦費をまきあげることは当然なこととされており、まして欧州各国が十九世紀以来、中国その他アジア諸国に対しておこなったことは、たとえば英国が香港をまきあげ、フランスがベトナムを領土化し、ロシアが遼東の地をとり、ドイツが膠州湾をかっぱらったのは、すべて小さなトラブルを言いがかりにしてときには戦争に訴え、ときには武力でおどしあげてそれらのことをやってのけた。
徴収と四カ国艦隊、薩摩と英国艦隊でも幕府および明治国家が賠償金を払わされた。
ところが日本がロシアに対して戦勝してその賠償金を取ろうとしたとき、
「日本人は人類の血を商売道具にし、土地と金を得る目的のために世界の人道を破壊しよとしている」
と米紙は極論して攻撃しだした。
ここでいう「人類の血」とは白人であるロシア人およびロシアから強制的に連れてこられているフィンランド人やポーランド人の血を指す。
欧米の感覚では日本人や中国人のようなアジア人の血は「人類の血」とは考えていなかった。
最終巻に向けて盛り上がっていく
さあ次はとうとう司馬作品最後の坂の上の雲八巻
しかし最後は名残惜しいのでこの国のかたちと燃えよ剣を手にしてしまいました。。
これでほんとに最後><
★★★★