水曜日, 4月 27, 2011

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら



以前ドラッカーは何冊か読んだことあるものの、翻訳ものがやはり向いていないからか表面の字面を追うだけで身につかなかった記憶があるので入門でも読んでみるかと手に取る。

オンラインでの共同作業向けにファイル共有ができるファイリーを運営しているためその参考にしたいと思い熟読す

ファイリーではファイルが共有できるという特徴から
顧客:
デジタルな共同作業を行っている、行おうとしている、行う可能性のあるすべての人々
顧客を満足させること:
顧客の業務効率化、本業への集中、感動
と位置づけて読み進める。

確かに平易に書かれていてすらすらと読める。
また収益を目的としていない「高校野球」を題材にしていることも好感が持てた。
ただ、万人向けにしている分内容はとても軽い、いかにも大衆受けを狙っているような内容/展開。
「ドラッカー?おいしいの?」
という層に対して興味を持たせるという点で貢献は高いが、ドラッカーを学ぶのも表面的、小説としては評価ができない、という残念な内容と私は感じた

P.24
あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向づけ、努力を実現するには、「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である。

P.35
企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。事業は(略)顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。したがって「われわれの事業とは何か」との問いは、企業を外部からすなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。

P.58
企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それがマーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。
これまでマーケティングは、販売に関する全職能の遂行を意味するに過ぎなかった。それはまだ販売である。われわれの製品からスタートしている。我々の市場を探している。これに対し真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち現実、欲求、価値からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問う。「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。

P.90
働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。そのためには
1. 生産的な仕事
2. フィードバック情報
3. 継続学習が不可欠である

P.120
人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。問題を起こす。手続きや雑事を必要とする。人とは、費用であり、驚異である。
しかし人は、これらのことのゆえに雇われるのではない。人が雇われるのは強みの故であり能力の故である。組織の目的は、人の強みを生産に結びつけ、人の弱みを中和することにある。

競争、結果、責任

P.134
仕事を生産的なものにするには、四つのものが必要である。すなわち、
1. 分析である。
仕事に必要な作業と手順と道具を知らなければならない。
2. 総合である。
作業を集めプロセスとして編成しなければならない。
3. 管理である
仕事のプロセスの中に、方向づけ、質と量、基準と例外についての管理手段を組み込まなければならない。
4. 道具である。

P.137
働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。

20人の選手たちをピッチャー2人を除く、3人×6のチームに分け競わせる。
攻撃、守備、走塁、の3つを伸ばすためにそれぞののチームで得意な人員を責任者とし結果を競わせる。

P.138
自らや作業者集団に職務の設計に責任を持たせることが成功するのは、彼らが唯一の専門家である分野において、彼らの知識と経験が生かされるからである。
自分の仕事が組織の成果に結びついている、と実感できる生産的な仕事。
実感させるための情報のフィードバック。

P.182
マネジャーたるものは、上は社長から下は職長や事務主任にいたるまで、明確な目標を必要とする。目標がなければ混乱する。目標は自らの率いる部門があげるべき成果を明らかにしなければならない。他部門の目標達成の助けとなるべき貢献を明らかにしなければならない。

P.205
組織構造は、組織の中の人間や組織単位の関心を、努力ではなく成果に向けさせなければならない。成果こそ、すべての活動の目的である。専門家や能吏としてでなくマネジャーとして行動する物の数、管理の技能や専門的な能力によってでなく成果や業績によって評価される物の数を可能なかぎり増やさなければならない。
成果よりも努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。
仕事のためではなく成果のために働き、贅肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来の為に働く能力と意欲を生み出さなければならない。