水曜日, 4月 06, 2011

リクルートのDNA―起業家精神とは何か



戦後製造業はソニーや松下、本田などあるものの、情報産業という意味では最初の大企業リクルート創業者江副さんの著。
大企業といいつつも、今でもベンチャー精神を同社は持っているという点で江副イズムが今でも脈々と受け継がれる。

その江副さんは本書でも繰り返し
凡人の私でもひたむきに学び、自分の時間のほとんどすべてを割いて精一杯働いただけで成功できたのだからあなたもできる
と説く。(成功は努力次第ということは認めるものの、江副さんが凡人というのは繰り返し謙遜しすぎ)

商売とは、
価値を作ること

その価値を売ること
の二つがある。

いい商品を作ってもそれが売れなければ意味が無い。
その点でリクルートは
「情報を発信する企業」と「情報を受け取りたい学生」
をマッチングさせる情報を創り出し、それを全国の企業と大学を回ったとという強い営業力が成功の理由。

今でこそインターネットが普及しているため
情報のマッチング
は多く見られるビジネスモデルだが、それをこの時代に行っていたという点で秀逸

東大新聞をヒントに森ビルの物置小屋での就職情報誌からはじまったリクルートは
住宅情報、旅行情報誌、中古車情報誌
などへと横展され、事業領域を大きくしていく
販路は書店や当時台頭していたコンビニへ置いてもらうことでも拡大していった
通常の書籍では書店は売上の20%しか取れないが、リクルートの「広告の本」では100%を利益としてもらった。

社長は変われど、収益にこだわる姿勢は強い、社員を増やさずより高い収益を上げる。
また、江副さんは褒めるべき時に褒め、叱るべき時にすみやかに叱ることにも気をつけた。
時間を置かずに。褒めるときはおおげさでもいい。叱るときは個別に叱る

幸之助さんへのリクルートブックのトップインタビューで
幸之助さんはひとりで対応
大阪支社長、営業マン、カメラマンなど計4名を同行したところ
「私一人のインタビューに5人も来られて、おたくは儲かってる会社でんなぁ」
と言われた。以来なるべく一人で行動することにした。
「人は誰でも得手なことと不得手なことがありまんがな。誰に、どの仕事を、どこまで要望するかが大事やなぁ」

他にもホンダ、ソニー、トヨタ、シャープ、三井不動産、京セラ、イトーヨーカ堂/セブンイレブン、セコム、ダイエー、森ビル、ファーストリテイリング、ソフトバンクとの取引から経営者のエピソードを語る。

また、海外ではGE、フォード、デルの事例を紹介する。
特にGEを創立したエジソンは技術者でありながら、子供の頃学校に通わずに列車で新聞や菓子、パン、飲み物を売る仕事をしていた経験から営業能力も高く、例えるなら井深さんと盛田さんの2役をこなしていた。


社是:

自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ

・経営の三原則
社会への貢献
個人の尊重
商業的合理性の追求