この巻というよりもローマ人の物語の主役ともいえるユリウス・カエサル
ローマが生んだ唯一の天才
どの時代にどんな境遇で生まれても必ずやリーダーとなる男
などなど
塩野さんの文面を見ても
ね、ね、わかってもらえる?カエサルってこんなにすごいの、ね、ね、すごいでしょ?
と言いたいのが伝わってくる
バイアスをかけずに読むのが大変なぐらいw
この間は生まれから青年期ぐらい
スキピオの母親とカエサルの母親はローマでも母親の鑑と言われているらしく、そのぐらいすごい母親だったんだろう
マリウスと血は繋がっていないものの妻がマリウスの娘?だかなんだかで、スッラから「処刑リストから外して欲しければ離縁しろ」と言われ、ポンペイウス含め誰もがそう言われれば離縁していたのにカエサルは拒否してオリエントに逃げる。
海賊に捕まった時も天文学的な身代金を要求されたのにそれを笑って自分の身代金を吊り上げ、身辺の自分の奴隷に集めさせて、その後開放された後に挙兵して海賊を捕まえたりとか。
成人後のカエサルについて塩野さんが注目するのが金と女
カエサルほどもててかつ女に恨まれないという才能はすごいと絶賛
カエサルの借金の原因の一つが女性へのプレゼント
ただし気に入られるためのプレゼントではなく喜んでもらうためのプレゼントであり女はその違いはすぐにかぎわけるとのこと
元老院議員の妻の半分はカエサルと関係があったのではないかという話もあった
妻同伴の夜会の席か何かで愛人と会っても並の男はしらんふりをする。カエサルは妻には少し待ってと言い衆人が見守る中堂々と愛人に近づきその手をやさしく取って「どう、変わりない?」と。女は無視されたり無下にされた場合に傷つくものという塩野さんの言葉。こりゃ手が付けられんね。
借金については政治キャリアをはじめる前から膨大なものだった
膨大な読書家だったので本だったり、おしゃれだったり、女性へのプレゼントだったり、取り巻きとの豪遊だったり
ローマ一の金持ちクラッススが最大の債権者だったけど
金は多額になると借りてるほうが力が強くなり債権者は債務者の意向/目的を支援せざるを得なくなる
という点は納得
カエサルが属州に移るときも債権者が返してからにしろ!と囲んでいた時も、クラッススが保証をしてやりカエサルのキャリアを進ませた
カエサル氏のビジネス、というタイトルでカエサルの金に対する考察が面白い
カエサルは金について汚かったわけでも返さなかったわけでもない
ただ目的のためには人の金も自分の金も区別をしなかった
債権者たちが巻き込まれて彼の支援者になっていった
という点
内乱記でのエピソード
「大隊長や百人隊長たちから金を借り、それを兵士たち全員にボーナスとして与えた。
これは一石二鳥の効果をもたらした。指揮官たちは自分の金が無に帰さないためにもよく働いたし、総司令官の気前の良さに感激した兵士たちは全精神を投入して敢闘した」
債権者ににとって「大きすぎて潰せない」型のやっかいな債務者
現代に生きていたとしてもうまくアグレッシブに借金をしてどんどん自分のビジネスを築いていく人だろうな