月曜日, 3月 07, 2011
国盗り物語〈第4巻〉織田信長〈後編〉
歴史小説、とくに司馬さんのように信者がたくさんいるような歴史小説とは不思議なもの
ミステリー小説で言うと
最後いつ誰が誰を殺すか
までもうわかっていてもはらはらとしながらも読み進める
明智光秀 a.k.a. 謀反人
という単純なレッテルが貼られるほどの有名な本能寺の変
これも司馬さんの筆にかかると自分が光秀の気分に憑依するため、信長に殺意を抱くようになる光秀の背景に迫る
(大河ドラマとかだと若干大げさだけど)
信長に辱めを受けたり常軌を逸するプレッシャーを与えられていたことよりも
「信長が部下たちを消耗品として消しにかかっていたこと」
が原因で
「消される前に、同じ死ぬなら一か八か勝負する」
という心理状態だったと推測する
もちろん、前後を考えないトランス状態であったと思われるが
信長が天下一統が見えてきたことから譜代の家臣たちの力が不要になってきたため、滝川一益であったり林秀貞であったりを追放した。
中には
おまえは我が挙兵の時に我が弟に加担したな!今までは多めに見てきたが許せん
という、2~30年前のことを引っ張り出す強引な理由付けのものもあった。
これは筆頭家老と言われていた柴田勝家も例外でなく、唯一の例外は信長の子を養子としていた秀吉だけだった。
結果、
「彼を殺さなければ自分が殺される」
という恐怖感と、信長が手薄だったという偶然が重なり、信長の
「是非に及ばず」
という発言につながった
その後、中国返しを果たした秀吉は有能であっただけに毛利討伐のために大軍を与えられていた
本書では、秀吉と光秀を対照的に描いており
光秀:真面目なばっかりに信長のような上司にとってはつまらない部下
秀吉:常に大口。信長の次の行動を予想し信長を苛立たせない
例えば秀吉は
「自分は封地は要りません。兵をお貸し下されば中国/四国/九州を瞬時に平らげます。九州も1~2年だけ年貢をいただければその後それをもって私は上様のために次は唐国に攻めいります。」
など、信長が好むようなことを口にするよう心がけていた。
本能寺の変で一番得をしたのが秀吉であることから、光秀/秀吉共謀説もあるようだが事実はわからない。
ただ秀吉にとっては信長は神であり大恩があるものの、その恩は信長個人であって織田家ではない、という論理で天下を盗っていった。