水曜日, 7月 20, 2011
仕事の思想―なぜ我々は働くのか
起業家に人気の高い田坂さんの書籍をはじめて手に取る
この方の経歴(原子力博士であったりシンクタンク出身であったり)から想像していたのとは異なりアツイなw
びっくりするぐらいアツイ。これは気温だけのせいじゃないはず。
まず、
「仕事の報酬は仕事である」「仕事の報酬は成長である」
という前提からスタートし、それを補足するエピソードが語られていく
仕事を「パンを得るための手段」と捉えること
それは、マズローの「欲求の五段階説」
・生存
・安全
・貴族
・尊敬
・自己実現
の生存や安全のみでの思想になっている。
それを本書では以下のタイトルを付け、欲求をかけあがっていくことを説いていく
◯思想
大学卒業後に高校教師を選んだ友人
その友人が選んだ高校は、落第/退学/非行/校内暴力の横行する高校だった
著者
「君もあの高校の悪い評判は聞いているだろう?
それなのになぜ君はあの学校を選んだのかい?」
友人1
「たしかにあの学校は、非行や校内暴力が問題になっている高校だよ。
だけど、そうした学校にこそ、本当の教育が必要なのではないだろうか?」
◯成長
商事会社へ就職を決めた大学時代のジャズが大好きだった友人
友人2
「俺は就職などしたくなかった
俺はジャズが好きだった
だから本当はジャズの道で生きていきたかったんだ
だけど、それでは飯を食っていけない
だから給料の良い会社に就職した
これからは、会社で働く俺が
ジャズを愛するもうひとりの俺を食わせていくんだ」
卒業後3年が経ち
著者
「仕事の調子はどうだい?」
友人2
「それが困ったことに
仕事が面白くなってきてしまったんだ」
それからさらに数年後、10年選手となった彼に再開
「最近になって、ようやく仕事が見えてくるようになったよ
振り返れば昔は見えていなかったことがたくさんあったんだな
いまは、仕事の裏の動きや仕事の先の展開が
いやになるほどよく見えるんだよ」
「いまは、仕事をどう仕掛ければよいかが、よくわかるようになったよ
だから、ようやく、やりたい仕事がやれるようになってきたんだ」
その時彼の口からはジャズの話は聞かれなかった
「仕事というものは、こころを込めてやれば、なんでも面白いよ」
◯目標
走り高飛び
という競技で、バーがなく
「できるだけ高く飛んでごらん」
と言われて、人は高く飛べるだろうか?
目標がなければ人は力を出すことができない。
また、バーが例えあったとしても
県大会優勝
歴史的な記録
という、バーの先にみえる「夢」がなければいけない
夢がなければ人は成長を続けられない
◯顧客
いい上司に恵まれなくても、企業人にはいい「鏡/鑑」がある
それは顧客である
いい顧客とは厳しい意見を言ってくれる顧客である
しかってくれる顧客である
それこそが優しい顧客である
厳しい顧客は、当たり障りの無い言葉は言うものの無言のままに去っていく顧客である
◯共感
顧客に共感してもらうのではない
まず自分が顧客に共感しなければいけない
顧客をファンにするのではない
顧客を操ろうとしてはいけない
自分が顧客のファンにならなければいけない
◯格闘
「物分かり」のよいマネジャーが増えている
「なるほど、なるほど」と部下の意見をよく聞くものの内心では異なる意見を持っている
部下と議論しない
部下と衝突することを無意識に恐れているから
部下と正面から向き合うことが苦痛だから
真剣に格闘し共に成長していくことが真の人間力向上につながる
◯地位
マネジャーになると、雑用が多い、責任だけ大きい、などの愚痴が多くなる
「責任が嫌ならマネジャーになどならなければよい」
マネジャーという職は「ノブレス・オブリージュ」
「義務と責任が人間を成長させてくれる」
「部下の職業人としての成長」に間接的に責任をもつことによって成長できる
いかに部下を指導するか?どうすれば部下を教育できるか?
それは「自分自身が成長すること、成長し続けること」以外にない
マネジャーが腹をくくり覚悟ができると、「ノブレス・オブリージュ」は
「高貴な人が覚悟する義務」
とは逆の
「義務を覚悟する人の高貴さ」
という新しい意味を獲得していく
◯友人、仲間
著者が新卒で入った会社で新入社員の集まりで夢を語った
著者
「この会社を環境技術に関するリーディングカンパニーにしよう」
「そのことを通じて、社会のエネルギー問題と環境問題の解決に貢献しよう」
友人3
「ビジョンや夢はいいと思う
しかし、私も含め、希望した職種でない部署に配属された人間も多くいることを忘れないでもらいたい」
彼の言うとおりであったが著者は
「たしかに言うとおりだ
私も希望と異なる配属をされたらしばらく落ち込む
が、それが受け入れなければならない現実なら自分はおちこんだままではいない
かならず人間がいる、かならず仲間がいる
人間がいて仲間がいるかぎり、きっとそこには夢がある
かならず夢がある
だから自分は、そこで夢を語り始める
その夢を花咲かせようとすると思う
また別のところに行かされたら
そこでも同じことをするとおもう
飛ばされたところで花を咲かせようとする
我々はタンポポだ
どこかに飛ばされたら、そこでまた、大きな花をさかせればよい」
その後友人とはともに仕事をしたが、本当に頼りになる仲間だった。
数年後に友人が出向することになった、その時のスピーチが
「これからタンポポのように花を咲かせに行きます」
だった。
友人は出向先でも高い評価を得て戻ってきた。
著者が退職し独立するときにも
「約束通り、新しい場所で、タンポポのように花を咲かせろよ」
と友人は言った。
◯未来
カッコーの巣の上で
という映画のエピソードから
夢は破れてもいい、それを恐れる必要はない
挑戦すること
たとえ自分がその夢を実現できなくても
いつか誰かがその夢を実現する
夢を描く私たちが恐れるべきものはそれは
「夢が破れる」ことではなく「力を尽くさぬ」こと
私たちに問われるものは、
「その夢を実現するために、力を尽くして歩んだか」
ということ