水曜日, 12月 14, 2011

胡蝶の夢〈第3巻〉



前巻に続き、引き続きあまりおもしろくない。。

ようやく後半の方になり物語に動きが出はじめて面白くなってくる

ポンペが帰国したため長崎から江戸に呼び戻され将軍家を見る将軍侍医となる。

医者、絵師、技師法外の人ということで身分の外に置かれた。
たとえば将軍侍医などは将軍家の体に触れるため身分が高くなければならず、結果権力はもたないものの大名と同程度の位とされた。

また、この当時は、将軍侍医と言えど、西洋の学問をしているとなると問答無用で切る攘夷家が多いため松本良順も危険だった。
そんな時、松本良順宅に近藤勇が訪ねてくる。
松本良順は順天堂を起こした実父佐藤泰然の影響もありもともと武士っぽい性格を持っていた。
話をしてみて内容次第では切るつもりでやってきた近藤勇は松本良順と意気投合してしまい、2~3歳年長の松本良順を兄として義兄弟の契りを交わすまでになった。
もともと新撰組であることに劣等感をどこかに抱いていた近藤勇は
自分も境遇が違えば新撰組であったかもしれない
という松本良順の酔った席での言葉に感動し、また、新撰組の体調不良者を全員診察する、という行動に対して近藤勇は平伏しますます新選組と絆を強くしていく。

また、将軍家茂の臨終間際の話。
家茂は人の上に立つには充分な人柄と、有能ではないために悲痛なほどの責任感とそれによる苦悩を持っていた。
しばしば
自分は非常の時代に将軍になるような器ではない。一橋どのと代わりたい
と漏らしていた。

病床では医者、この場合は松本良順だけが友であり頼りだった。
松本がそばにいることで安心し、そのため松本はそばで何日も寝ることが出来ず極限まで来ていた。
座ったまま眠ってしまいよだれを流していたところを
松本、松本
と呼ばれた。起きてはっと家茂の口もとに耳を近づけると
そちは居眠りの名人だ
と大事でも打ち明けるようにいい、微笑するだけでも努力のいる病態で笑ってみせた。
それだけのことで松本良順はなぜか生涯このことがわすれることができず、思い出すたびに涙した。

このままでは粗相をするかもしれないから1時間だけでも寝させて欲しい。
と家茂に訴えたところ
それはかわいそうなことをした
しかし松本、頼む
と不安という異常心理にある家茂は頼み
わしは、我儘はいうな、といって育てられた。奥でも表でも家来に我儘をいったことがない。松本、そちだけにいうのだ。
こうしよう、ここで寝よ、わしのふとんの中で寝よ
と言われ招き入れられてしまったので、眠気どころではなくかえって目がさめてしまい、かといって眠った体にしなければ家茂に悪いため懸命にいびきをかいて眠ったふりをした。家茂も安心した。

このあたりのエピソードがおもしろい