月曜日, 8月 08, 2011

組織を強くする技術の伝え方



失敗学で有名な畑村洋太郎さんこれは以前どこかで勧められ放置されていた本

私が積ん読している間に東電の原発事故の事故調査・検証委員長にも就任されてますますご活躍されている

技術は本来、伝えるものではなく、伝わるもの
伝える側が最も力を注ぐべきことは、伝える側の立場で考えた「伝える方法」を充実させることではない。
本当に大切なのは、伝えられる相手の側の立場で考えた「伝わる状態」をいかにつくるか

はじめて知ることでもすぐに理解できることがある
それは自分の頭の中に似たような知識があるとき、いわば頭の中の引き出しにあるテンプレートを加工することで理解の助けとなる
教えるのがうまい人、は相手の持っている理解のテンプレートに合わせながら知識を伝えるのがうまい

例えば技術を海外の担当者に伝える場合
以前は教育の担当者が現地に赴いて技術を教える方法が主だった
それが最近では、現地工場のキーになる人を日本に呼び寄せて検収を行うケースが増えている
それは現場/会社のの「気」も含めて伝達するため
技術そのものは現地に行って伝えることができる
が、日本の生産現場にある雰囲気までは伝えることができないので、日本国内で教育を行うことが多くなってきた
雰囲気はそれほど生産現場に置いて重要な要素

脳がより動くためには、動機づけ、意欲といったものが大きな影響を与える


あるピアニストの例
優れたピアニストは常に自分の体や楽器の状態、観衆の状態を見ている
観衆が最も楽しめるようにプログラムを臨機応変に変更する
平日夜のコンサートで雨が降っていて、開演時間が過ぎてもざわざわと落ち着かなかった
ステージ脇からピアノに辿りつくまでの十秒の間に雰囲気を感じ取り、緊張感をほぐすようなやさしい曲から始めた
結果、会場の雰囲気が落ち着き、聞く方も集中力を要する技巧的な曲も楽しめた

作者が気を付けているのは
1.
まず体験させろ
2.
はじめに全体を見せろ
3.
やらせたことの結果を必ず確認しろ
4.
一度に全部を伝える必要はない
5.
個はそれぞれ違うことを認めろ

伝達を意識していないものの伝わって欲しいのが
価値観、信頼感、責任感という企業文化や気

事故や技術について1枚の絵で書かせ説明させるのはいい取り組み

陰陽二つの技術の伝え方がある
陽は通常の技術作業書
陰は正しいやりからはずれたときにどんなことが起こるかを書き加えると、とたんに立体的な見せ方ができる

GEを率いていたときのジャック・ウェルチ
「企業価値を決めるのは社内文化、それを生み出すのが社内教育」
「時間や空間を共有しなければ知識や考えの共有はできない」
喜びや感動、楽しい時間といったものをメンバーと共有することが非常に大切
そのためGEは非常に曖昧漠然とした言い方でも話がどんどん進められてしまう

技術を先達から学んだ後は、「守破離」が大事でありそれが社会の進歩の源泉となる

★★★