月曜日, 11月 01, 2010
翔ぶが如く〈10〉
ボリュームだけでいえば司馬さんの一番の大作、とうとう読了
やはり最後はおもしろい、ひきつけられた
感動とは違うがすべての日本人におススメ
どこかに書かれていたが、「竜馬がゆく」やその他でも連載もののためか読者サービスで描かれた女性が一瞬出て、司馬さんも忘れて途中でどこかいってしまうぐらいの長編
革命家西郷が武士の時代を終わらせ、最後に陸軍大将まで務めた西郷が桐野をはじめとする武士たちの死に場所をこしらえたのが西南戦争だった
歴史とは勝者が作るものなので、この戦争で薩摩側がもし勝っていれば、これも正当化され革命と呼ばれていただろう
読む前に比べ大久保利通に対する見方も変わった
責任感が強く、民への思いは評価できるほど治世が長くないが、日本をして欧米列強に追いつけ追い越せ、という気持ちは強かった
西南戦争後に
「ようやく戦乱も収まって平和になった。よって維新の精神を貫徹することにするが、それには30年の時期が要る。それを仮に三分割すると、明治元年から10年までの第一期は戦乱が多く創業の時期であった。明治11年から20年までの第二期は内治を整え、民産を興す時期で、私はこの時まで内務の職に尽くしたい。明治21年から30年までの第三期は後進の賢者に譲り、発展を待つ時期だ」
と言っていた大久保が治めていたらどうなっていたか
いい独裁者になっていたか、悪い独裁者になっていたか
そんな大久保も最後は、暗殺予告を無視し「石川士族に何ができるか」と鼻であしらっていた
★の数は司馬さんの世界独特の、終盤に差し掛かる言いようのないトランス状態
少し大作でしんどかった6,7,8,9あたりも加点
★★★★★