金曜日, 9月 09, 2011

財務とは何か



以前どこかで勧められていたもの
整理のために急いで読むが、勧められていただけありやはり良著

ただし何か特別なことが書かれているわけではない
難しいことも書いてない
ただ、著者が大事だと思うことしか書いていないので好感が持てた

第一部は、BS、PL、CSの概要について説明してあるのでわかっている人は読み飛ばしてもよいかも

その上で著者は財務諸表で重要なのは3つであると断言(3つのボトムライン)
その3つとは
・純利益
・営業キャッシュフロー(OCF)
・資産利益率(ROA)

純利益はもちろん重要であるが、会計上の抽象概念であり今いくらキャッシュがあるのかを知ることができない。
また、場合によっては純利益は操作可能である。
「利益がなくても会社は生きながらえるが、現金がなければ1日も存続できない」
と言われるように、キャッシュが重要であるためCSが導入された。

OCFが重要なのは、会計上の概念でなく今実際に持っているキャッシュであるから。
OCFは純利益より一貫して多くあるべき。
以前GEが純利益は拡大しているのに株価が思うように上がらない時期があった。
経営陣が調査研究したところ、純利益に比例してOCFは伸びていなかった。
懸命な投資家達は
「利益をキャッシュに変える」という経営者の重要な仕事をGEはできていない
=>多くの場合、売上債権あるいは在庫品の管理がうまくできていない
と判断していた。
その後純利益とともにOCFも拡大させたところ株価は期待通りに伸びた。
OCFだけを重要指標としないのは、OCFもまたそれ単体では短期的には操作が可能だから。

ROAは非常に有効な数値
変数に
純利益(売上と費用の管理がうまくいっているか)、売上債権、棚卸資産、固定資産の管理が効果的に行われているかを示す。
ROAが唯一指標とならないのは
・同一業種でしか比較ができない、業種によりROAは大きく異なる
・分子の利益が抽象概念であること、分母の資産も資産評価法により現実とずれること
・先月いくらの現金が入ったか、などはわからないこと

これら3つのボトムラインを単年度でなく時系列に見ることにより財務諸表俯瞰できる

この本の真骨頂は財務スコアボード(モブレーマトリックス)だと思われる
分析のために以下のような表をつくる
単位1000ドル 日数365日
期首BS PL CS 期末BS
現金預金 25 現預金残高変化 -5 現金預金 20
売掛金 0 売上高 500 代金回収額(OCF) 470 売掛金 30
棚卸資産 75 売上原価 350 棚卸資産支払額(OCF) 380 棚卸資産 105
その他営業資産 0 前払金(OCF) 0 その他営業資産 0
受取手形 0 貸付(回収)(OCF) 0 受取手形 0
総固定資産 100 固定資産投資(ICF) 0 総固定資産 100
減価償却累計額 0 減価償却費+償却費 10 減価償却累計額 10
正味固定資産 100 正味固定資産 90
その他投資 15 無形資産償却費 1 その他投資(ICF) 0 その他投資 14
資産合計 215 資産合計 259
買掛金 0 一般管理販売費用 155 費用支払額(OCF) 105 買掛金 50
債務 10 借入(返済)(FCF) 11 債務 21
その他営業負債 0 支払利息その他費用 1 利息その他支払額(OCF) 1 その他営業負債 0
未払法人税 0 法人税費用 0 法人税支払額(OCF) 0 未払法人税 0
非営業負債 0 非営業負債 0 非営業費用支払額(FCF) 0 非営業負債 0
株式 205 払込(FCF) 0 株式 205
利益剰余金 0 純利益 -17 配当その他(FCF) 0 利益剰余金 -17
負債・資本合計 215 負債・資本合計 259
資産利益率 -7.17% 営業キャッシュフロー -16

もっと詳細に書いてあるけどだいたいのニュアンスで。。

最適業績のためにまず利益は
売上原価/売上高
一般管理費/売上高
を時系列に計測していく。
次にOCF視点では、OCFが問題になるときは多くの場合、売上債権と棚卸資産であるため
平均売上債権 = (期首売上債権+期末売上債権) / 2
売上債権回転率 = 売上高 / 平均売上債権
売上債権回転日数 = 365日/売上債権回転率
売上債権回転日数 = (平均売上債権×365) / 売上高
つまり、売上債権回転日数だけ、「自社のカネ」が他の口座で眠っていることを意味する。
同様に在庫についても
平均棚卸資産 = (期首棚卸資産+期末棚卸資産) / 2
棚卸資産回転率 = 売上原価 / 平均棚卸資産
棚卸資産回転日数 = 365 / 棚卸資産回転率
棚卸資産回転日数 = (平均棚卸資産×365)/365
棚卸資産回転日数だけ、「自社のカネ」が倉庫かどこかで眠っている。

デュポン等式
このあたりから数字遊びになる恐れもあるが、適切に使うことにより未来の目標設定にも使える
ROS = 純利益/売上高
ROA = 純利益/資産
ROA = 純利益/資産 = 売上高/資産 × 純利益/売上高
ROA = 純利益/資産 = 売上高/資産 × ROS
ROS × 資産回転率 = ROA

純利益/売上高 × 売上高/資産 = 純利益/資産 × 資産/資本 =純利益/資本
ROS × 資産回転率 = ROA × 財務レバレッジ = ROE


追記:
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