月曜日, 3月 30, 2009
成功する頭の使い方—スーパー洞察力のすすめ
昔買った本、片付けをしていたら気になり読み返す。96年単行本、98年文庫化時意見
著者が夜9時頃渋谷駅に立っていたら塾帰りのランドセルを背負った小学生が数人。
身体を作る大事な時期、家族団らんをするべき大事な時期に親は何をしているのか。
時代が変わったことを感じ取れずに、今後も日本ではいい人生を歩むためには、
いい大学/高校/中学/小学校etcに通わなければいけないと考えているのだろう。
インドではカースト制があり身分の変更は想像だにできない。
最下層に属する人たちは乞食ぐらいにしかつける仕事がない。
が、五体満足では誰もお金を恵んでくれない。
母親は、子どもがいい乞食になれるように、乞食をし爪に火をともすような
くらしをして貯めたお金を持って、人間の手を切断することを生業とする人の
ところに子どもを連れて行く。
子どもが泣こうとわめこうと、いい乞食になれるように子どもの両手を切断する。
と、このような話も中にはあるようだ。
日本の母親、インドの母親、ともに子どもの可能性を奪っている。
想像力さえも奪われているインドの母親は半ばやむを得ない、情報社会に生きる
日本の母親が行う行動の方がよほど罪深いのではないか、と筆者。
また本編ではまず筆者がこの10~15年で起こる(1996~)であろう4つの変化を指摘
1.地下がさらに1/3に下がる
2.物価が3割安くなる
3.1ドル220円まで円が下がる
4.失業率が2倍の7%になる
1.地下がさらに1/3に下がる、は
・農業用地の解放
・銀行からの売り物
・法人が製造業を中心に国内空洞化/海外移転をすすめ土地を買わなくなる
・マイホームを買う個人が半減
を主な理由とする
2008~2009にかけて派遣切りが問題となったが、派遣という制度が企業に取って
便利な制度であったから積極的に雇用していただけで、面倒なことになるので
あれば、さらに国外にもっていき派遣の雇用は「そもそも」なくなると私も思う。
このあたりは、私もよませていただいているのんびりさんのblogが参考になる。
2.物価が3割安くなる、は
本書ではその表現ではないが、そういいたいのだろうと思う表現として、
資本主義はアービトラージ(裁定取引)が基本のため、アービとラージャーが
埋めるまでの時間差は価格差があるだろうが、日本/東京だけが物価が高いのは
是正されざるを得ない、価格差がなくなることも「グローバル化」の一つである。
また、4.失業率が2倍の7%になる、にもつながる話で、本書にはその表現はないが
ここ5~10年特に目立った傾向として、グローバル化の一環で、以下の変化が顕著
・企業に取って昔は従業員が守るべき第一優先が"従業員"であった。
・企業に取っての第一優先が、"マーケット/競合"、"株主"に移った。
・そのため体力がある企業は従業員の可処分所得を気にすることはせず、
株主に還元したり、競合との最終決戦に備え内部留保を厚くする。
これまでの"経済学の常識"で言えば、日本のこの10年20年はいつインフレに
なってもおかしくない低金利状態であった。
が、振り返ってみると、国民の大多数であるサラリーマンの収入が増えないので
"インフレは日本には訪れない"と考えを改めるべきか。
と、書いたところで、5~10年ではなく、ちょうど日本が"失われた20年"と
言われている時代と重なるのではないかと思う。
失われた20年、などではなく上記の新しい変化(というか成熟した資本主義では
当然の)をまだ、「変化したんだ」と納得できないマスコミを中心とした人たち
が、一時的と思いたいため"失われた20年"と呼んでいるのだろう。
次に筆者は人口ピラミッドに触れる。
江戸時代には約300年程度3000万人で人口が増えなかった。
なぜか?
貿易がない鎖国状態であった日本は当時、ベジタリアンであった。
鶏肉:200gの穀物で100gできる
豚肉:200gの穀物で50gできる
牛肉:200gの穀物で30gできる
そのため、日本国民をエネルギー的に養うためには幕府が肉食を禁止し
200gで200gできる穀物を中心にするベジタリアンがこの島の中で人口を
最大限に保ちながら鎖国するための最良かつ唯一の方策だった。
それでも増えてしまいそうな場合は手段としての間引きが行われていた。
そのため、高度成長時代と言われていた時代が日本では特殊であって
今後の人口適正化社会が自然であると書く。
また、著者が昔恩人に言われた言葉
ボスコン新人時代、パートナーに
「5年後の世の中は誰にでもわかる。今起きていることで5年前に影も
形もなかったことはない。」
今起きていることのほとんどは、すでに5年前に影や形はあった。
5年後に起きることの萌芽は、今われわれの目の前に姿を現している。
ハーバードMBA時代、教授に
「ケーススタディで答えがないこと」に対する疑問を教授に相談したところ
「君はいま最高の学習をしているのだ。ハーバードへ来てよかった。
ビジネスに限らずあらゆる学問や人生というものは、何が問題である
かを考えることが。教えられた問題の答えなど誰にでも出せる。
とくに指導的立場に立つような人間は、答えを作ることが仕事ではない。
それは部下に任せればいいことだ」
などの言葉を紹介